目次
対象者の基本データ
病名 | 甲状腺濾胞がん・多発転移性骨腫瘍 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
平成21年頃、足の痛みが続き病院を受診されました。診察で腸骨腫瘍の疑いを指摘され、大学病院へ転院となりました。
精密検査の結果、甲状腺濾胞癌が腸骨に転移したことが判明しました。
甲状腺濾胞癌、腸骨腫瘍は手術により摘出しました。
ただ、手術後も股関節痛は徐々に強くなり、今では、杖なしで歩行は不可能となり、階段の上り下りや、片足立ち、正座などもできません。
身の回りの事も一人ではできず日常生活はご家族の介助で成り立っています。
ご相談者様は、就労ができず、経済面でもご家族の支援を受けておられます。
ご家族の経済的な負担を少しでも軽減したいとの思いで障害年金の申請を決められました。
申請準備は到底、ご自分ではできないと判断され、当事務所のホームページをご覧になり、ご相談いただく事となりました。
申請結果
ご相談者様からのヒアリングで初診日が平成21年とお聞きし、初診日の証明に手こずるという予感を持ちました。
初診の病院に問い合わせたところ、カルテがなく「受診状況等証明書」(初診日を証明する書類)が取れませんでした。
2番目の病院では「受診状況等証明書」を書いて頂け、しかも、初診の病院からの紹介状のコピーも入手できました。
初診日の証明の為に日本年金機構には、これらの書類を「受診状況等証明書が添付できない申立書」に添えて提出することになります。
初診証明の不安が解消し、次にすべきことは、「診断書」依頼です。障害認定日(初診日から1年6ヵ月経過した日)の「診断書」はカルテが無いため入手出来ず、遡及請求は断念。
事後重症請求のため現在の「診断書」を依頼することとなりました。
ここで思案したことは、診断書の種類です。
「肢体の障害用」、「血液・造血器、その他の障害用」どちらの診断書でも提出は可能です。
ご相談者様の場合は、日常生活において身の回りの事も介助が必要で、日中の50%以上就床しているご様子から、「血液・造血器、その他の障害用」の診断書を選択しました。
主治医の先生には、診断書を依頼する際、ご相談者様が日常生活でご家族から受けている支援や疼痛のため就労が出来ないことを詳細にお伝えしました。
完成した診断書は、正確にご相談者様の状態が反映されており、自信をもって申請をすることが出来ました。
結果は、2か月のスピード審査で、障害基礎年金2級に認定されました。
【ポイント1】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
【ポイント2】障害認定日とは
障害の程度の認定する日を『障害認定日』と言います。
障害認定日は原則として、初診日から1年6ヵ月後の日です。(※特例もあります)
障害認定日の状態が障害等級に当てはまると、障害年金が支給されます。
また障害認定日に等級に該当しない場合でも、今後症状が悪化して等級に当てはまるようになった時には請求することが可能です。
なお、何らかの理由で障害年金の請求が遅れてしまったり、手続きを忘れていたときには認定日請求(遡及請求)という方法にて、最大5年間分の貰い忘れていた障害年金を受け取れる可能性があります。
【ポイント3】診断書の種類
障害年金請求に使用する診断書は以下の8種類あります。
①眼の障害用
②聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用
③肢体の障害用
④精神の障害用
⑤呼吸器疾患の障害用
⑥循環器疾患の障害用
⑦腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
⑧血液・造血器・その他の障害用
受給の可能性を1%でも上げるためには、ご自身の障害状態を最も伝えることが出来る診断書を選ぶ必要があります。
症状が多岐にわたる場合は複数の診断書を使用しても構いません。
①~⑦のいずれの傷病にも当てはまらないものは、⑧その他の障害用の診断書を使用します。
その他の障害用の診断書は記載できる項目が他の診断書に比べ限られるため、限られた項目でいかに障害状態を伝えることが出来るかが大切です。
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