目次
対象者の基本データ
病名 | 1型糖尿病 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約104万円 遡及金額 約322万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
32歳頃から多飲過食といった症状が出始めたにも関わらず、体重は減少。
さらに多尿といった症状が現れた事から心配になり受診をされたそうです。
検査をしたところ1型糖尿病と診断されました。
いつ倒れてもおかしくない数値との事で、すぐにインスリン治療が開始されました。
病状は徐々に悪化し血糖コントロール不良から眩暈などが起こり、仕事も長期休職を余儀なくされました。
休職で将来に強い不安を感じていたところ、テレビで糖尿病と障害年金の事が大きな話題となり請求を決断。
しかし、障害年金のしくみや請求方法などが分からず、ネットで当事務所の無料相談を見て、相談をすることにしたそうです。
相談の中で、ご自身での提出準備は難しいと判断され、遡及も含めての代行のご依頼となりました。
申請結果
当初より遡及を強く希望されていたため『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金(遡及)』も合わせて請求する方向になりました。
遡及分を申請するには、初診日から1年6ヵ月後(障害認定日)の状態が、障害等級に該当している必要があるため、まずは当時の状態が等級に該当しているか確認するところから始めました。
糖尿病では「Cペプチド値」が重要となるため、当時の病院へ早速問い合わせました。
しかし、障害認定日の頃はペプチド値を測定していないことが判明。
そこでヒアリング時にご本人さまから聞いていた『低血糖による意識障害』にて等級に該当しないか検討していきました。
病院に確認したところ、カルテにも同様の記載があることがわかり、障害認定日の診断書にその旨を記載してもらいました。
また診断書の活動能力を評価する項目には、当時の状態が正確に反映されるよう『フルタイムで就労していたが軽作業に配置転換されたことや残業を免除してもらったこと』などの職場で受けた配慮を医師にお伝えして反映して貰いました。
低血糖による意識障害については今もあるとの事でしたので、現在の診断書には『ペプチド値』及び『意識障害の回数』を記載して頂きました。
活動能力を評価する項目では障害認定日の診断書と同様に『日常生活』や『就労の状況』を詳細に医師に伝え、ご相談者の状態が正確に反映されるようにしました。
さらに『病歴就労等申立書』には、診断書では表しきれない障害認定日当時と現在の状況を詳細に記載しました。
就労の件があるので、遡及については心配がありましたが、認定日も事後重症も障害厚生年金3級に認定されました。
【ポイント1】糖尿病でペプチド値が不明な場合
糖尿病では、認定の目安としてペプチド値が最もわかりやすい目安です。
ただし、ペプチド値を測定していなくても、意識障害により自己回復できない重症低血糖の所見が月1回以上ある場合やインスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あれば3級認定の可能性が高くなります。(ただし、診断書の一般状態区分表がアに該当しないこと)
【ポイント2】糖尿病で一般就労している場合
正社員でフルタイム就労している場合は、一般的に認定は難しいと考えられています。
その理由の一つとしましては、正社員としてフルタイム働けるということは、医師からは日常生活も問題なく送れますねと判断され、一般状態区分表をアとされる可能性が大きくなるからです。
このように就労されている場合でも、職場で配慮を受けていれば、その内容をしっかり医師に伝え、一般状態区分表を検討してもらうことと、受けている配慮の内容も診断書に書いてもらう事が認定につながります。
又、「病歴・就労等申立書」にも職種や職場での配慮を詳細に記載することも非常に大事です。
就労しているからといって、すぐに請求を諦めることはありません。何らかの配慮などがあれば、それを正確に主張することで認定につながる可能性は有ります。