
関節リウマチによる関節の痛みや変形で、日常生活や仕事に支障が出ている方のなかには、「障害年金をもらえるのだろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
関節リウマチも、一定の要件を満たせば障害年金を受給できる可能性があります。
本記事では、関節リウマチがどの認定基準で判断されるのか、受給できる可能性・等級・金額の傾向、そして申請時に押さえておきたいポイントまでを、障害年金を専門とする社会保険労務士法人の視点で解説します。
申請を検討されている方も、ご家族として支えている方も、まずは全体像を確認しておきましょう。
目次
関節リウマチと障害年金の基礎

関節リウマチは、障害年金では「肢体の障害」の認定基準で審査され、一定の要件を満たせば受給できる可能性があります。
まずは関節リウマチの概要と、障害年金における位置づけを整理します。
関節リウマチとは
関節リウマチは、免疫の異常により関節に炎症が起こり、関節の腫れ・痛み・こわばりなどが生じる病気とされています。
手指・手首・足の関節などに症状が出ることが多く、進行すると関節の変形や機能障害につながることがあります。
こうした症状によって日常生活の動作や就労に制限が生じている場合、障害年金の対象となる可能性があります。
なお、具体的な病状や治療内容の判断は、主治医にご確認ください。
障害年金では「肢体の障害」で判断される
障害年金では、関節リウマチは障害認定基準の第7節「肢体の障害」に基づいて審査されます。
肢体の障害は、「上肢の障害」「下肢の障害」「体幹・脊柱の機能の障害」「肢体の機能の障害」の4つの区分に分かれています。
関節リウマチは全身の関節に症状が及ぶことが多いため、これらのうち「肢体の機能の障害」の認定基準で判断されるケースが多くなります。
関節リウマチで障害年金を受給できる可能性
関節リウマチは症状の出方によって適用される認定基準が変わります。
ここでは、4区分のどれで判断されるかの振り分けと、中心となる「肢体の機能の障害」の総合認定の考え方を解説します。
「肢体の障害」4区分と振り分けのルール

障害のある部位によって、次のように適用される認定基準が異なります。
- 障害が上肢または下肢の一定の範囲に限られる場合 → それぞれ「上肢の障害」「下肢の障害」の認定基準
- 障害が上肢および下肢の広範囲にわたる場合 → 「肢体の機能の障害」の認定基準
- 上肢と下肢で障害の状態が相違する(いずれか一方が重い)場合 → 障害の重い肢で程度を判断
関節リウマチは上下肢の広範囲に症状が及ぶことが多いため、「肢体の機能の障害」として認定されることが多くなります。
「肢体の機能の障害」での総合認定

肢体の機能の障害の程度は、関節可動域・筋力・巧緻性・速さ・耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定することとされています(障害認定基準 第7節 第4「肢体の機能の障害」)。
つまり、検査数値だけで機械的に等級が決まるわけではなく、日常生活の動作にどの程度の支障があるかが重視されます。
関節リウマチのように症状に波がある傷病では、この「日常生活の実態」をいかに正確に伝えるかが重要になります。
なお、令和4年4月1日に、肢体の障害関係の「測定方法」が一部改正されています。
国民年金・厚生年金保険障害認定基準 第7節 第4「肢体の機能の障害」
(出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」、令和4年4月1日改正)
肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。
受給できる場合の等級
ここでは、関節リウマチで受給する場合の等級判定の一般的な傾向と、令和8年度(2026年度)の年金額の目安をご説明します。
等級は個別の状態により判断されるため確定的なことは申し上げられませんが、目安として参考にしてください。
等級判定の一般的な傾向
認定要領では、各等級に相当する状態が例示されています。
たとえば「用を全く廃したもの」は、日常生活における動作のすべてが一人で全くできない、又はこれに近い状態とされ、動作の制限が重いほど上位の等級に判断される傾向があります。
障害の等級は、加入していた年金制度によって次のように整理されます。
個別の状態がどの等級に該当するかは、最終的に日本年金機構の審査によって判断されます。
| 制度 | 対象等級 |
|---|---|
| 障害基礎年金(国民年金) | 1級・2級 |
| 障害厚生年金(厚生年金) | 1級・2級・3級 |
障害基礎年金には3級はありません。
3級は障害厚生年金のみの等級です。
そのため、初診日に国民年金に加入していた方や20歳前に初診日がある方などは、3級相当の状態では原則として支給の対象になりません。
障害年金でもらえる金額はどれくらい?(令和8年度・2026年度)

ここでは、令和8年度(2026年度)の障害年金額をご紹介します。
令和8年度は、令和7年度から 基礎年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0% 引き上げられました(令和8年4月分・令和8年6月15日支払分から適用)。
なお、年金額は 毎年改定 されます。本記事の数値は令和8年度のものであり、過去年度の金額は累積管理ページでご確認ください。
障害基礎年金の金額(令和8年度)
障害基礎年金は、等級に応じた 定額 が支給されます。1級は2級の1.25倍の金額です。
| 生年月日 | 1級 年額 | 2級 年額 |
|---|---|---|
| 昭和31年4月2日以後生まれの方 | 1,059,125円 + 子の加算額 | 847,300円 + 子の加算額 |
| 昭和31年4月1日以前生まれの方 | 1,056,125円 + 子の加算額 | 844,900円 + 子の加算額 |
月額換算では、昭和31年4月2日以後生まれの方で1級が約88,260円、2級が約70,608円です。
子の加算額 は、2人まで1人につき243,800円、3人目以降1人につき81,300円(令和8年度)です。
対象となるのは、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子 で、生計を維持されている場合に限ります。
障害厚生年金の金額の仕組み
障害厚生年金の金額は、報酬比例の年金額(過去の標準報酬月額・加入期間に基づいて個別計算)を基礎としています。
等級ごとの計算式は次のとおりです(障害基礎年金とは別枠の障害厚生年金部分の金額です)。
- 1級:(報酬比例の年金額)× 1.25 +(配偶者加給年金)
- 2級:(報酬比例の年金額)+(配偶者加給年金)
- 3級:(報酬比例の年金額)※最低保障額 635,500円(昭和31年4月2日以後生まれの方・令和8年度)
1級・2級に認定された方は、上記の障害厚生年金に加えて、要件を満たす場合は障害基礎年金も併せて受給します(併給)。
3級の場合は障害厚生年金のみで、障害基礎年金との併給はありません。
配偶者加給年金は 243,800円(令和8年度)で、生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます。
ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間20年以上等)や障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止される場合があります。
なお、報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
また、障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金額の計算の基礎には含まれません。
年度別の金額ページへのリンク
年金額は毎年改定されるため、各年度ごとに独立したページで累積管理しています。
詳細な計算例やご家族構成別の受給額シミュレーションは、各年度ページでご確認ください。
申請のポイントと診断書の取り方

関節リウマチの申請では、「初診日の特定」と「診断書の内容」が特に重要になります。
ここではこの2点を中心に、押さえておきたいポイントを整理します。
初診日の確認(関節リウマチ特有の注意点)

初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医師(又は歯科医師)の診療を受けた日をいいます。
障害年金は、この初診日に加入していた年金制度によって受給できる年金の種類が決まるため、初診日の特定がとても重要です。
関節リウマチは症状が緩やかに進行することが多く、初診日が10年・20年以上前に遡るケースも少なくありません。
その場合、当時のカルテが廃棄されて初診日を証明する「受診状況等証明書」が取得できないことがあります。

取得できないときは、「受診状況等証明書が添付できない申立書」に、診察券・お薬手帳・処方箋・第三者による証明などの参考資料を添えて対応します。
ただし、これらの参考資料は提出すれば必ず初診日が認められるものではなく、初診日が20歳前か20歳以降か、証明者の立場、他の客観的な資料との整合性などにより判断されます。
診断書(肢体の障害用)で押さえる形式的なポイント

関節や四肢の機能障害が主な場合は、肢体の障害用の診断書(様式第120号の3)を使用します。
この診断書には「日常生活における動作の障害の程度」を記載する欄があり、等級判定に大きく影響します。
なお、合併症などで呼吸器・循環器その他の障害が中心となる場合は、別の様式や複数の診断書が必要になることがあります。
握力・関節可動域・筋力などの検査結果に記載漏れがないか、症状が出ている部位がきちんと反映されているかを確認することが大切です。
あわせて、病歴・就労状況等申立書で、発病から現在までの経過や、日常生活・就労にどのような支障が出ているかを丁寧に記載します。
申立書の作成支援は、社会保険労務士である当事務所の専門領域です。
なお、診断書の医学的な内容については、主治医とご相談のうえ作成いただく必要があります。
「もらえない」と言われた・申請が通らないケース
関節リウマチで申請しても、思うような結果にならないことがあります。
ここでは通りにくくなる一般的な要因と、その後の選択肢を整理します。
通りにくくなる一般的な要因
一般的に、次のようなケースでは認定が難しくなる傾向があります。
- 日常生活動作の制限が診断書に十分反映されていない
- 初診日が客観的な資料で証明できない
- 保険料納付要件を満たしていない
- 障害基礎年金では3級に相当する状態が支給対象にならない(初診日が国民年金加入中・20歳前・60歳以上65歳未満で国内在住の年金未加入期間などにある場合)
これらはあくまで一般的な傾向であり、個別事案により判断は異なります。
思うような結果にならなかった場合の選択肢
決定の内容に納得できない場合は、審査請求という方法があります(原則として、決定があったことを知った日の翌日から3か月以内)。
また、障害認定日の時点では認定基準に該当しなかったものの、その後に症状が悪化して現在は該当すると考えられる場合は、事後重症請求という選択肢もあります。
この場合、支給は請求した月の翌月分からとなり、さかのぼっては支給されません。
また、事後重症請求は原則として65歳の誕生日の前々日までに請求書を提出する必要があります。
請求が遅れるほど受け取れる期間が短くなるため、早めの請求が大切です。詳しくは 事後重症請求とは もご参照ください。
手続きによって要件や期限が異なりますので、判断に迷う場合は専門家にご相談ください。
関節リウマチの障害年金 事例
弊事務所では、関節リウマチの方の障害年金申請を数多く手がけてきました。年代や就労状況、初診日の状況はさまざまです。
たとえば、初診の医療機関のカルテがすでに廃棄されていたケースや、初診を受けた病院が閉院していたケースでも、診察券や処方箋などの資料を積み上げて初診日を証明し、受給に結びついた例があります。
症状の程度や日常生活の状況によって、障害厚生年金2級・障害基礎年金2級・障害厚生年金3級など、認定された等級もさまざまです。
- 関節リウマチ|障害厚生年金3級(人工関節を入れていない事例)
- 関節リウマチ|障害厚生年金3級(初診病院が閉院していた事例)
- 関節リウマチ(人工関節)|障害基礎年金2級(既にカルテが破棄されていた事例)
- 関節リウマチ|障害厚生年金3級(肢体障害の症状が広範囲に渡る事例)
※個別事案により判断は異なります。
よくあるご質問
関節リウマチと障害年金について、よくいただくご質問にお答えします。
Q:仕事を続けていても障害年金は受給できますか?

就労している場合でも、受給できる可能性はあります。
関節リウマチの認定では日常生活における動作の状態が重視されるため、就労の有無だけで判断されるわけではありません。
ただし、就労状況は審査で考慮される要素の一つです。個別の事情によって判断は異なります。
Q:障害者手帳がないと障害年金は申請できませんか?
障害者手帳と障害年金は別の制度です。
身体障害者手帳を持っていなくても障害年金の申請はできますし、手帳の等級と障害年金の等級も一致するとは限りません。
まとめ

関節リウマチによる障害年金のポイントを整理します。
- 関節リウマチは障害認定基準の第7節「肢体の障害」で審査され、全身に症状が及ぶ場合は「肢体の機能の障害」として総合的に認定される
- 等級判定では、関節可動域・筋力などに加え、日常生活における動作の状態が重視される
- 症状が緩やかに進行するため、初診日の証明と診断書の内容が特に重要
- 障害基礎年金は1級・2級、3級は障害厚生年金のみ
関節リウマチで障害年金の申請を検討されている方や、初診日の証明でお悩みの方は、わくわく社会保険労務士法人(全国障害年金サポートセンター)までお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年7月時点の年金法令・障害認定基準に基づき作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイト等でご確認ください。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。医学的判断は主治医にご確認ください。

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