精神疾患の一つである反復性うつ病性障害は、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼします。
そのため、適切な支援を受けるために障害年金の申請を考える方も多いでしょう。
しかし、申請が必ずしも認められるわけではなく、不支給となるケースも少なくありません。
本記事では、反復性うつ病性障害で障害年金が受給できるのか、また不支給となる主な理由とその対策について詳しく解説します。
反復性うつ病性障害で障害年金はもらえるのか?
反復性うつ病性障害は、うつ病が繰り返し発症する精神疾患であり、日常生活や就労に深刻な影響を及ぼすことがあります。
そのため、一定の条件を満たせば障害年金の受給対象となります。
当センターで申請サポートさせて頂いた中でも、反復性うつ病性障害での受給実績がございます。
しかし、通常のうつ病との違いや申請のポイントを理解しておくことが重要です。
反復性うつ病性障害とうつ病の違いとは?
一般的なうつ病は一度の発症で治療を行い、改善するケースが多いのに対し、反復性うつ病性障害は繰り返し発症することが特徴です。
寛解と再発を繰り返すため、症状が長期にわたることが多く、就労や社会生活に深刻な影響を及ぼします。
障害年金の申請においては、この「反復性」という特徴が認定のポイントになります。
反復性うつ病性障害の診断基準と障害年金申請のポイント
反復性うつ病性障害の診断は、国際的な診断基準(DSM-5やICD-10)に基づきます。(※『ICD-10コードとは』のページでも詳しくご説明していますので、ご参照下さい)
反復性うつ病性障害の場合は、うつ病とうつ病の間の期間(寛解期)では症状がなく生活への支障もないという方もいらっしゃるので、症状が持続するうつ病とは異なって、「申請のタイミング」も大事になります。
障害年金の申請において反復性うつ病性障害の障害の程度を適切に伝えるためには、反復性うつ病性障害の特性・診断基準にある「うつ病エピソードの頻度・期間、症状の重症度を捉え、それによる生活への支障の状況等」をいかに書面上に反映していくかということが申請のポイントになります。
障害年金の審査は「書類のみの審査である」ため、書面上に記載内容の不備不足や証拠資料の不足があると認定が難しくなります。
例えば、以下のようなケースでは、実際は障害年金を受給できる障害状態にあるにも関わらず、書面上で実際の障害状態が客観的に確認出来る内容となっていないために不支給に繋がってしまう場合もあります。
- 客観的に自分の状態を把握することが出来ていない。
- 主治医の先生は自分のことをわかってくれているだろう。
- 診断書は先生に書いてもらったらいいだけでしょ?
うつ病エピソードの頻度・期間、症状の重症度、それによる生活への支障の状況等を把握したうえで、これらを
- 医師に的確に伝えて診断書に反映してもらう
- 病歴就労状況等申立書に反映する
ことが重要になります。
こういった申請手続きが難しい又は不安に感じる感じる場合は、手続きを最もスムーズに進めるためにも専門家に相談・依頼をしていただくことをオススメします。
反復性うつ病性障害のガイドラインと申請の関係
障害年金の審査は、厚生労働省が定めた「精神の障害に関する等級判定ガイドライン」に基づいて行われます。
このガイドラインでは、日常生活への支障の程度が重視されます。
例えば、「常時介助が必要」や「著しい制限がある」場合、障害等級2級以上に該当する可能性があります。
申請時には、これらの基準を理解し、適切な証拠を準備することが不可欠です。
障害年金が不支給になる原因とは?
障害年金の申請を行っても、不支給となるケースが少なくありません。
そのため、不支給の要因をしっかりと理解し、それを避けるための適切な対策を講じることが重要です。
不支給の主な理由として、初診日の特定ができないケースや診断書の内容が不十分なケース、日常生活への影響が軽微と判断されるケースなどが挙げられます。
また、障害の程度が基準を満たしているかどうかの審査は非常に厳しく、慎重な準備が求められます。
さらに、申請の際には病歴・就労状況等申立書の詳細な記述が必要となり、症状の変遷や現在の生活の制約について正確に記載することが求められます。
こうした点を踏まえ、事前に十分な準備を行い、適切な証拠を揃えて申請を行うことが、障害年金の受給を成功させるための鍵となります。
障害年金がもらえない基準とその理由
障害年金が不支給になる主な理由には、以下のようなものがあります。
不支給の要因を正しく理解し、適切な対策を講じることで、受給の可能性を高めることができます。
まず、障害年金の審査は厳格に行われるため、申請内容の不備や証拠資料の不足があると認定が難しくなります。
また、病歴の記録が不十分だったり、初診日の証明ができない場合も申請が却下される可能性が高まります。
さらに、診断書の内容が不明瞭で、障害の程度や日常生活への影響が適切に反映されていないと、審査で不利になることがあります。
こうした理由を事前に把握し、必要な準備を進めることが重要です。
- 初診日が確認できない(病歴やカルテの不足)
- 診断書の内容が不十分(症状の重さが適切に記載されていない)
- 日常生活の制限が軽微と判断された
- 保険料の未納がある(必要な加入期間を満たしていない)
これらの点に注意し、必要な書類を整えることが重要です。
仕事をしていると障害年金は受給できないのか?
仕事をしている場合でも、一定の条件を満たせば障害年金を受給することは可能です。
審査では「労働の制限」が判断基準となります。
具体的には、フルタイムの勤務が困難であるか、就労が制限される状況にあるかが考慮されます。
また、職場で特別な配慮が必要であったり、体調不良により業務が継続できなかったりする場合も、受給の可能性が高まります。
さらに、短時間勤務であっても、仕事内容が限定されている、作業スピードが著しく低下している、頻繁な休職を余儀なくされているといった場合も考慮されます。
このため、申請時には、職場環境や就労状況を正確に伝えることが重要です。
- 短時間勤務であり、就労に制限がある場合
- 休職や頻繁な欠勤を余儀なくされている場合
- 仕事内容が極端に軽作業に限られている場合
これらの条件を満たしている場合は、障害年金の受給が認められる可能性があります。(※『「働きながら障害年金をもらえる人」をわかりやすくご説明します』のページで詳しくご説明していますのでご参照下さい)
不支給を避けるために必要な申請準備とは?
障害年金を確実に受給するためには、以下の準備が必要です。
まず、申請の際には病歴や診断書の内容を詳細に記載することが求められます。
医師の診断書だけでなく、必要に応じて日常生活における具体的な困難や制約についての証拠を揃えることが重要です。
例えば、家族や介護者からの証言、職場での勤務状況の詳細な報告書などが役立ちます。
さらに、申請手続きには一定の時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが必要です。
社会保険労務士などの専門家の助言を受けることで、より確実に受給の可能性を高めることができます。
- 医師の診断書の充実:症状の重さや日常生活の制限を具体的に記載してもらう
- 病歴・就労状況等申立書の作成:発症から現在までの経過を詳細に記述する
- 保険料の納付状況を確認:納付要件を満たしているか事前に確認する
- 専門家に相談する:社会保険労務士などの専門家に相談し、適切な申請手続きを行う
これらの準備を徹底することで、不支給のリスクを低減し、障害年金を受給しやすくなります。
まとめ
反復性うつ病性障害で障害年金を受給するためには、病状の正確な把握と適切な申請が必要です。
不支給の原因を理解し、事前準備を徹底することで、受給の可能性を高めることができます。
申請に不安がある場合は、専門家のアドバイスを受けながら手続きを進めることをおすすめします。