うつ病で障害年金を申請される場合の注意点などは『【社労士が解説】うつ病で障害年金を申請するポイント』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
目次
対象者の基本データ
病名 | うつ病・強迫性障害 |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
中学生の頃から強い強迫観念があり、何度も時間をかけて手洗いをするなどの行為があったそうです。
こういった行為から通常の生活に支障をきたすようになり、周囲の勧めもあり受診することにしました。
病院では、強迫性障害と診断され、薬物療法とともに精神療法開始となります。
しかし、症状は改善せず、転院を繰返します。
高校卒業後は就労しますが、継続勤務はできず、短期間での転職を繰り返します。
意欲の低下や憂うつ気分の症状も強まり、今では、強迫性障害の他にうつ病とも診断され治療を続けています。
就労だけでなく家事さえできず、毎日が不安だらけで生きていく気力さえ持てず、無為な日々を過ごしていました。
家族が社会保障の制度について調べてくれて障害年金の制度に辿り着きます。
ただ、手続きが困難であり、とても自分では申請ができないと思い、ネットで弊社のホームページをご覧頂になりお問合せ頂くこととなりました。
申請結果
ご相談者様は、遡及請求をご希望されていました。(ポイント①)
遡及請求の場合、障害認定日と現在の診断書がそれぞれ必要になります。
なお、障害認定日とは障害の程度を判断する日で、この日から障害年金を申請できます。
本来の障害認定日は初診日から1年6ヵ月経過した日になりますが、ご相談者様のように初診日が20歳前の場合は、20歳のお誕生日の前日が障害認定日になります。(ポイント②)
そこで、20歳の頃の診断書を依頼しましたが、ここで、大きな問題が生じます。
20歳の頃は、うつ病とは診断されておらず、傷病名が強迫性障害という神経症であったことです。(ポイント③)
神経症は障害年金では原則、対象外の傷病とされているため、申請しても不支給になってしまう可能性がありました。
そこで、医師に、当時のカルテを再確認して頂きましたが、精神病の症状についての記載が全くなく、傷病名は強迫性障害としか書けないとのことでした。
ご相談者様に、遡及が難しいことを伝えましたが、診断書の文書費の負担が1通分増えるだけで済むなら、遡及にチャレンジしたいとの強いご希望があり、遡及請求で申請しました。
結果は、「障害基礎年金2級」に認定されました。
遡及は認められませんでしたが、これからは、障害年金が支給されることで、治療に専念できるとお喜びの声を頂くことができました。
【ポイント1】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
以下の動画でものポイントをご説明していますので是非ご覧ください。
【ポイント2】20歳前傷病による障害認定日請求
20歳前傷病の場合の障害認定日は初診日から1年6ヵ月を経過した日が20歳到達日より前にあるか、後にあるかによって取り扱いが変わります。
(※20歳到達日:20歳の誕生日前日のことを言います)
- 初診日から1年6ヵ月経過した日が20歳到達日よりも前にある場合:20歳到達日が障害認定日
- 初診日から1年6ヵ月経過した日が20歳到達日よりも後にある場合:原則通り初診日から1年6ヵ月経過した日が障害認定日
20歳前傷病による障害認定日請求を行う場合、上記障害認定日の前後3ヵ月以内現症の診断書が必要となります。
【ポイント3】強迫性障害などの神経症
強迫性障害、PTSD、パニック障害などを神経症と呼びます。
これらの神経症は、原則として障害年金の対象外となります。
但し、うつ病、統合失調症のような症状がある場合は、障害年金の対象となることもあります。
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