うつ病で障害年金を申請される場合の注意点などは『【社労士が解説】うつ病で障害年金を申請するポイント』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
中学の頃から、過眠の症状が始まり、授業中に居眠りをして注意されることが度々あったそうです。
その後も過眠の症状が続いていましたが、大学生の頃から、過眠に加え強い倦怠感などの症状も出現しベッドから起き上がれなくなりました。
通学も困難になり単位を落とし中退となったことで気持ちが落込み、家族に付き添われ受診することになります。
薬物療法・精神療法開始となりますが、症状が改善せず、転院を繰返します。
就労も6ヶ月ほどしか続かず、今では、通院以外は外出もできず、終日臥床して過ごされています。
いつまでも家族に負担をかけるわけも行かず、自分が受けられる社会保障を探されていました。
ネットで障害年金の制度を知り申請を考えますが、とても今の自分では手続きを進めることはできないと思い、LINEでご相談を頂きました。
申請結果
障害年金申請にあたっては、初診日の確定がとても大切です。(ポイント①)
そして、初診日の証明ができないと、最悪、申請ができなくなる場合もございます。
本事例では、ご相談者様が10回ほど転院を繰返されており、初診病院の記憶が曖昧との事でした。
そこで、ご家族にお伺いしたところ、お母様が、これまでの診察券、病院の領収書、そしてお薬手帳を保管されており、初診病院から現在までの通院歴が明確になりました。
手続きとしては、まず、初診病院に受診状況等証明書(初診日の証明)を依頼しました。
初診日は10年以上前でしたが、カルテが残っており、スムーズに取得することができました。
次に、申請方法の検討に移ります。(ポイント②)
ご相談様は遡及申請をご希望でしたので、障害認定日(初診日から1年6ヵ月経過した日)頃の日常生活の様子をヒアリングするとともに、障害認定日頃に通院してA病院に診断書の記載が可能か問い合わせをしました。
お母様のお話によると、障害認定日頃は症状が安定していて、専門学校入学を目指して活発に活動されていたことがわかりました。
また、A病院からは当時のカルテが残っておらず診断書は記載できないとのお返事を頂きました。
以上の事から、残念ですが遡及申請ができないことをご説明し、事後重症請求での申請に切り替えて手続きを進めました。
必要な診断書は、現在の障害の程度を現す診断書1通です。
診断書依頼の際は、初診日を正確に記載して頂くために受診状況等証明書の写しを添付するとともに、現在の日常生活の状況や今までの通院歴、就労歴について資料を作成し医師に橋渡しをしました。
診断書が完成し、他の必要書類も整え、申請しました。
結果は、2ヶ月足らずのスピード審査で、「障害基礎年金2級」に認定されました。
【ポイント1】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前々月から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
以下の動画でものポイントをご説明していますので是非ご覧ください。
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