目次
対象者の基本データ
病名 | 軽度知的障害 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
出生時に異常があり、発語や歩き出しも遅く、定期健診時には要観察とされていました。
小学校は普通学級で過ごしていましたが、いじめに遭い、学習面にも遅れがあり、同級生や教師とも対人関係の構築が困難でした。
家庭内でトラブルがあり、自動相談所に保護された際に知的障害があることが判明し、療育手帳を取得されました。
中学校からは支援学級に在籍し、高校は特別支援学校に進みました。
高校卒業後は障害者雇用で就労を始めましたが、対人関係をうまく築くことが出来ず、転職を繰り返していました。
就労支援員によるサポートを受けつつ、就労を継続していますが、対人関係がうまくいかないことや就労を行うことによってストレスを抱え、不眠や不安などの症状もあることから、収入も不安定で将来への不安がありました。
クリニックの主治医の先生より障害年金を勧められ、手続きについて調べるようになりましたが、軽度知的障害では申請しても受給出来ないと他事務所の社労士より言われ、半ば申請を諦めていました。
諦めきれず、弊社までご相談いただくこととなりました。
申請結果
障害年金は、IQだけで審査されるわけではなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断されます。(ポイント①)
今回のご相談者様はIQが50~70の軽度知的障害ですが、IQのみに着目することなく、まずは受給の可能性を検討していくため、現在の日常生活や就労状況について以下のような状況であることをお伺いしました。
- 日常生活においては、食事や身の回りの家事、金銭管理など単独で遂行することは困難であり、家族からの経常的な支援があるために日常生活が成り立っていること
- 就労の場面においては、職場へ就職するにあたって事前に職場実習を何度も重ねて就労環境へ徐々に慣れる機会を設けてもらえたこと
- 通勤についても就労支援員同行の下で通勤練習を何度も行うことで通勤ルートに限って公共交通機関の利用が出来るようなったこと。
- 実際に就労を始めてからも支援員から職場の直属の上司への働きかけをしてもらっていたり、所定外の休憩を認めてもらっていること
- 不得手とする対人対応は求められない、倉庫内での備品管理等の業務に従事している
など
上記のような日常生活や就労状況など具体的なエピソードをお伺いしていくと障害年金の受給の可能性は十分にあると考えられました。
ご本人様よりクリニックの主治医の先生に改めて障害年金の申請がしたいことをご相談いただき、弊社で申請サポートを進めさせていただくこととなりました。
これまで主治医の先生にはお伝え出来ていなかった出生から現在に至るまでの経過や具体的なエピソードも踏まえて上記のような日常生活や就労状況についてまとめたものを参考資料として、診断書を作成していただく主治医の先生に橋渡しを行いました。(ポイント②)
診断書の記載内容だけでは伝わらない現在に至るまでの経過や就労状況について病歴就労状況等申立書にて詳述し、申請しました。
結果、「障害基礎年金2級」として認定されました。
軽度知的障害であっても支援状況等によっては認定される場合があります。
IQのみで判断することなく、一度専門家にご相談いただけますと幸いです。
【ポイント1】知的障害はIQのみで判断しない
精神発達遅滞(知的障害)は、IQのみで判断されると思いがちです。
しかし障害年金では、IQに加えて『日常生活のさまざまな場面における援助の必要度』が重視されます。
そのためIQレベルが軽度に分類される場合であっても、支援状況などによっては障害年金の受給が認められる場合があります。
【ポイント2】診断書(精神の障害用)
精神疾患での障害年金を申請する際は、病状だけでなく、日常生活及び就労の状況もポイントとなります。
診察時に日常生活及び就労状況をうまく伝えられていない場合は、実際の状況と不釣合いな診断書となってしまう可能性があります。
診断書作成前に医師から詳しく状況を聞かれることもありますが、ヒアリングがない場合などは自ら伝えることが大事です。
伝え方は様々ですが、限られた診察時間では全てを伝えることが困難、医師を目の前にするとうまく伝えられないなどの場合はメモなどに記載してお渡しするのがよいでしょう。
以下の動画でも、精神の障害用の診断書に関する説明をしておりますので、宜しければご覧ください。
障害年金の申請に関しての記事
以下の記事では、傷病ごとの障害年金の受給に関して詳しくご説明していますので、是非ご参照下さい。