目次
対象者の基本データ
病名 | 脊髄損傷 |
---|---|
性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
1年半程前、業務中に高所より転落し、受傷されました。
痛みで喋ることも起き上がることも出来ず、胸から下が全く動かない状態となり、同僚が救急要請を行い、A病院へ救急搬送されました。
検査の結果、「脊髄損傷、L1破裂骨折」が分かり、即日、胸腰椎後方除左固定術が行われました。
寝たきりの状態が続き、ベッドサイドでのリハビリを継続していましたが、両下肢麻痺の為、立ち上がりや寝返りも出来ず、排泄障害も残存しました。
少しでも症状改善するならと考え、脊髄損傷の専門医がいるB病院へ転医しましたが、医師からは改善の見込みはないと告げられました。
医師からはリハビリを続けるように指示されたため、4か月は専門医の下で入院加療を継続しましたが、両下肢麻痺、排泄障害の症状に改善はなく、退院となりました。
退院後は現状維持を目的としたリハビリの為、C病院へ通院を継続しています。
常時、両下肢に補装具を装用し、杖を使用しなければ起立や歩行は全く出来ないため、家庭内の家事等些細な生活動作にも支障が大きい状況です。
以前と同じ仕事は出来ない状態であり、経済的な不安を抱えていた中で家族から障害年金の申請を勧められ、申請を行いましたが、結果は「不支給」でした。
結果に納得がいかず、当事務所にご相談の連絡をいただきました。
申請結果
障害年金は過去に申請をして不支給となった場合でも、再度申請することが可能です。(ポイント①)
ただし、再度申請をして受給出来るかどうかは前回不支給となった理由によって異なります。
過去に申請歴がある場合は不支給となった理由を確認し、再度申請して受給の可能性があるかどうか、また再度申請する場合にはどのような点に注意して書類を組み立てる必要があるか、十分に対策を練ってからお手続きに着手する必要があります。
そのため、ご相談の段階で過去の申請書類一式や不支給決定通知書を拝見させていただきました。
今回のご相談者様の場合、これらの書類だけでは審査の詳細が掴めなかったため、より審査実態に迫るために前回の申請時の審査に係る個人情報の開示請求を行い、「認定調書」の取り寄せを行いました。(ポイント②)
「認定調書」には、審査認定医が等級の判定や不支給決定を行う際の理由が記載されていることがあり、内容を確認することで審査ポイントを読み取り、審査請求や再度一から申請する際のヒントを得られることがあります。
今回のご相談者様の認定調書を確認すると、初診日から1年半経過前の申請であり、症状固定が認められない為に不支給決定がなされていること、なぜ症状固定が認められないとしたのか理由の記載がありました。
内容を確認し、ご相談様の状況経過からは原則通りの障害認定日(初診日から1年半経過した日)以降に申請を行った方が良いと判断し、障害認定日を待って再度申請を行いました。
結果、「障害基礎年金2級」として認定されました。
「個人情報の開示請求」や「認定調書」の内容確認などを個人で行った上での審査請求や再度の裁定請求を行っていくことは難しいこともあるかと思います。
ご体調が優れなければ、なおさらハードルは上がります。
無理に動く事で体調の悪化があっていけませんので、ぜひ専門家にご相談いただければ幸いです。
【ポイント1】受診状況等証明書はカルテをもとに記載する
障害年金の申請には、初診日を記載する「受診状況等証明書」という専用様式があります。
この様式は必ず「カルテ」をもとに、初診病院にて記載してもらいます。
カルテ以外の入院記録や受付簿、レセプトなどをもとに記載しても、初診日を証明できた事にはならず不支給となるケースもあります。
以下の動画より、受診状況等証明書の注意点をご覧いただけます。
【ポイント2】 障害認定日の診断書がない場合の障害認定日による請求
障害認定日による請求を行う場合、原則として障害認定日頃の診断書が必要となります。
しかし、これはあくまでも原則論であり、必ずしも医証によらずとも、障害の程度を判断するための合理的な資料等が得られる場合には認定される余地があると考えられます。
障害認定日頃の診断書が得られないからといってすぐに諦めることなく、医証以外の方法で認定を得られないか一度検討する価値はあると思います。
ただし、全ての傷病で医証がなくても受給ができるというものでは有りませんので、ご注意ください。
その他の肢体の障害の事例
肢体の障害の新着事例
よく読まれる肢体の障害の事例