うつ病で障害年金を申請される場合の注意点などは『【社労士が解説】うつ病で障害年金を申請するポイント』でも詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
---|---|
性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約110万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
腹痛や倦怠感があり、もともと通院していた消化器内科を受診するも、特に異常はなく経過観察となっていました。
ある時、不眠や緊張感が強く職場で過呼吸、パニック発作を起こし、救急搬送されたそうです。
それ以降、何度かパニック発作で救急搬送されることがあったり、不眠、自傷行為が現れるようになり受診を決意。
心身症と診断されお薬を処方されましたが、主治医と合わず1回受診したのみでした。
処方薬を服用していましたが、いっこうに状態は良くならないため、かかりつけの病院の精神科を受診することとしました。
日常生活にも支障をきたし、希死念慮が強まり、さらには経済的な不安ものしかかってきました。
そんな折、インターネットで障害年金の制度を知って、自分も対象にならないかと考え当事務所にご相談いただくこととなりました。
申請結果
ご相談者様は、以前、クローン病で申請して不支給になったことがあるそうです。
現在はクローン病は安定した状態で、また、一度不支給になったこともあり、うつ病での申請をご希望でした。
ご相談者様のご希望に沿って、うつ病に絞って代行手続きをさせて頂くことになりました。
手続きにあたって、まず、初診日の検討から始めました。(ポイント①)
ご相談者様は腹痛や倦怠感で「消化器内科(A)」を受診し精査を受けますが異常がないとの事で薬の処方などもなく受診は1回のみでした。
次に、過換気発作で「内科(B)」に救急搬送され点滴治療を受けました。
その後も度々過換気発作を起こし救急搬送が繰り返されます。
障害年金の制度上、初診日は「障害の原因となった傷病について、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」とされています。
AとBどちらが初診病院になるか迷いましたが、Aでは精査のみで異常も認められず、薬の処方など治療も受けていません。
一方、Bでは過換気症候群と診断され点滴治療などを継続して受けている事から、Bを初診病院として受診状況等申立書を依頼しました。
初診日が決定し保険料の納付要件確認後、診断書依頼となります。
ご相談者様は遡及請求をご希望でした。(ポイント②)
遡及のためには、障害認定日(初診日から1年6か月経過した日)から3カ月以内の診断書が必要です。
早速、病院に問い合わせをしましたが、障害認定日頃は全く受診されておらず、残念ですが、診断書取得には至りませんでした。
そこで、事後重症請求に切り替えて手続きを進めることにしました。
事後重症請求では、現在の障害の状態を現す診断書が必要です。
診断書依頼の際は、ご相談者様の通院歴・病歴、就労歴、現在の日常生活の状況について詳細にまとめた資料を添付し医師に橋渡しをしました。
診断書完成後は病歴就労状況等申立書などその他の書類を整え申請しました。
結果は、「障害厚生年金2級」に認定されました。
初診日の事が気になっていたので、認定後、新法裁定原簿で確認したところ、申請とおりBの初診日で認められていました。
【ポイント1】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前々月から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
以下の動画でものポイントをご説明していますので是非ご覧ください。
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