【事例741】慢性腎不全(人工透析)|障害基礎年金2級

慢性腎不全(人工透析)|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 慢性腎不全(まんせいじんふぜん)
性別 男性
支給額 年額 約101万円
障害の状態
  • 週3回の人工透析治療を受けている
  • 自営で板金塗装の仕事に従事している
  • 透析後は何もできず、臥床している
  • 身体障害者手帳1級
申請結果 障害基礎年金2級

 

当事務所スタッフによる事例紹介動画

当事務所の松木が実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。

当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。

 

ご相談までの経緯

ご相談者様は25年ほど前に血液検査で糖尿病の指摘を受けられました。

暫くは経過観察となり、食事指導を受けるのみで、投薬等はありませんでした。

しかし、徐々に、症状が悪化したことで転院して、インスリン治療を始めることになります。

インスリン治療を継続し血糖コントロールは良好でしたが、腎障害が徐々に進行し末期腎不全と診断され人工透析を受けることになります。

週3回の人工透析により、日常生活、就労共に大きな制限があり、特に、就労については自営業のためなんとか継続できていますが、大幅な減収となっています。

人工透析を受けながら、いつまで仕事が続けられるか不安をお持ちでしたが、奥様から障害年金の話を聞き、申請手続きを始められました。

しかし、初診病院ではカルテが残っておらず、初診日の証明ができずに暗礁に乗り上げてしまいます。

そんな時、ネットで弊社のホームページをご覧になり、藁をもつかむ思いで申請代行のご依頼を受けることになりました。

 

申請結果

ご相談者様は、人工透析を受けておられるので、障害年金の制度では、原則、2級となります。(ポイント①)

本事例では、25年以上前の初診日の証明にかかっていました。

初診病院では予想通り、カルテが残っておらず、受診状況等証明書は取得できませんでした。

念のために、通院記録だけでも残っていないか探して頂きましたが、何も残っていないとの返事でした。

それでも、諦めずに、当時の医師や看護師の方に第三者証明の記載もお願いしましたが、当時の記憶がないとの事で断られました。

次に、2番目からの病院に受診状況等証明書を依頼するとともに、ご本人様にも診察券や領収書などを探して頂きました。

そうしますと、奇跡的に初診病院と2番目の病院の健診結果が見つかったとご連絡がありました。

そこで、「受診状況等証明書が添付できない申立書」に初診病院の健診結果を添えて初診証明として提出しました。(ポイント②)

なお、2番目の病院の健診結果も提出しました。

しかし、年金機構から、初診日が確定できないとの返戻がありました。(ポイント③)
ご相談者様は、初診日の証明となるものは何もないとの事でしたが、糖尿病にかかわる症状で眼科などを受診されたことがないかお尋ねしました。

そうしますと、2番目の病院を受診している期間に眼科を受診し糖尿病性網膜症と診断されたことがわかりました。

すぐに、眼科から受診状況等証明書を取り寄せました。

眼科の受診状況等証明書には初診病院の記載は全くありませんでしたが、2番目の病院からの紹介状も添付されていました。

他に提出できる資料もなく、眼科の受診状況等証明書と紹介状を年金機構に提出しました。

再度、返戻がある覚悟をしていましたが、2番目の病院の健診結果の日付を初診日とする旨お電話を頂きました。

思わぬ展開となりましたが、無事、「障害基礎年金2級」に認定されました。

本事例からは、とにかく諦めない事の大切さを実感することができました。

 

【ポイント1】障害年金と就労

人工透析は「原則2級」と決められています。(※)症状によっては上位等級になる可能性もあり。

透析には時間を要するため、どうしても「労働可能時間に制限」が生じます。

また透析後は強い倦怠感を感じる方も多く、肉体労働は避けるようにと指示されることも多く「就労内容にも制限」が出てきてしまいます。

このように透析を行っていることでの制限が多いため『就労の有無に関わらず2級』が認められます。

今回のご相談者様は、会社から「短時間休などの許可・倦怠感などの対策としてこまめな休憩」などの支援が大きかったため、正社員としての勤務が可能でした。

このように「正社員」として勤務している場合であっても、受給が可能です。

 

【ポイント2】初診日の証明が出来ない場合

障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。

初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。

この受診状況等証明書は必ずカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。

そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。

この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。

ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。

申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。

客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。

  • 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
  • 身体障害者手帳等の申請時の診断書
  • 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
  • 事業所等の健康診断の記録
  • 母子健康手帳
  • 健康保険の給付記録
  • お薬手帳、領収書、診察券
  • 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
  • 第三者証明

など

受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。

なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

その他の腎疾患の事例

 

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