【事例684】右腕神経叢麻痺|障害厚生年金2級

右腕神経叢麻痺|障害厚生年金2級

対象者の基本データ

病名 右腕神経叢麻痺
性別 男性
支給額 年額 約186万円
遡及金額 約977万円
障害の状態
  • 障害者雇用で就労している
  • 利き腕の機能を失っている為、全ての作業は片手のみで行わざるを得ない
  • 一上肢の機能全廃の為、バランスが取れず歩行や立ち上がりにも支障をきたしている
  • 身体障害者手帳3級
申請結果 障害厚生年金2級

 

ご相談までの経緯

8年程前、友人の運転する車に同乗していたところ、単独事故に遭い負傷されました。

意識不明のまま救急搬送され、病院での入院加療、リハビリを実施されましたが軽度の高次脳機能障害、右上肢の機能全廃などの後遺症が残存しました。

後遺症に対するリハビリを目的に専門病院への通院や外科的治療を行いましたが、状態に変化はなく、右上肢は全く使えず、痺れと痛みを伴い、利き腕の機能を失ったことによる支障は著しく、活動は大幅に制限され、生活全般に家族からの支援を必要としていました。

勤めていた会社は退職となり、障害者雇用により就職し、職場内では多くの支援を受けつつ就労を継続しています。

そんな中で職場の同僚から障害年金制度を教えてもらい、受給の可能性があるのか当事務所のLINE@よりご相談いただきました。

 

申請結果

状態をお伺いし、十分に障害年金の可能性があることをご案内し、お手続きのサポートをさせていただくこととなりました。

お手続きではまず救急搬送された医療機関へと初診日の証明となる受診状況等証明書の作成を依頼しました。

初診日が確定し、保険料の納付要件も問題なく満たしていることを確認し、診断書の依頼へを進めます。

今回のご相談者様の場合、リハビリや外科的治療を行ったもののこれ以上の改善がないとのことで現在は通院を中断されていました。

現在の診断書については再度現在の状態について診察を受けていただくことで診断書を取得することが出来ましたが、初診日から1年半経過した障害認定日時点では当該理由により通院歴がありませんでした。

しかし、通院歴はないものの症状の経過から障害の程度は認定基準に該当すると推測することができるため、認定日請求に有効とされる期間外ではあるものの最も有効期間に近い受診時の診断書を1通取得し、その他障害の程度を審査する為の参考資料として「身体障害者手帳申請時の診断書の写し」や「代理人申立てを作成」して添付して遡及請求を行うこととしました。(ポイント①)

診断書などの医証の完成を待つ間、第三者行為障害による申請であるため、事故関連専用の書類を整え、全ての書類が整い申請しました。(ポイント②)

結果、「障害厚生年金2級」として過去5年分の年金も遡って支給が決定しました。

 

【ポイント1】障害認定日の診断書がない場合の障害認定日による請求

障害認定日による請求を行う場合、原則として障害認定日頃の診断書が必要となります。

しかし、これはあくまでも原則論であり、必ずしも医証によらずとも、障害の程度を判断するための合理的な資料等が得られる場合には認定される余地があると考えられます。

障害認定日頃の診断書が得られないからといってすぐに諦めることなく、医証以外の方法で認定を得られないか一度検討する価値はあると思います。

ただし、全ての傷病で医証がなくても受給ができるというものでは有りませんので、ご注意ください。

 

【ポイント2】第三者行為事故状況届

交通事故や労災事故などの第三者行為による後遺障害で障害年金を申請する際は、通常の申請書類のほか、第三者行為事故状況届等の事故関連専用の書類を提出する必要があります。

交通事故、労災事故の他に、第三者の絡まない自損事故の場合も第三者行為事故状況届の提出が必要です。

この第三者行為事故状況届には請求者の基本情報を記載するほか、相手方の情報、事故の状況、損害賠償の請求・受領の有無などを記載します。

事故の状況や損害賠償金の受領の有無など個別のケースにより、第三者行為事故状況届に添付しなければいけない書類が違うため、あらかじめ確認し、通常の申請書類と同時進行で準備を進めると良いでしょう。

 

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