【事例655】解離性運動障害 (気分変調症による抑うつ症状)|障害厚生年金3級

解離性運動障害 (気分変調症による抑うつ症状)|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 解離性運動障害 (気分変調症による抑うつ症状)
性別 女性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • 神経症に加え、精神病の病態を呈している
  • 解離性運動障害により、脱力症状が遷延している
  • 意欲低下が顕著で身の回りのことも億劫に感じ出来ない
  • 他者との交流はなく、支援者である家族に対しても自責の念が強く、顔を合わせたくない
申請結果 障害厚生年金3級

 

当事務所スタッフによる事例紹介動画

当事務所の住谷が実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。

当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。

 

ご相談までの経緯

10年程前に転職後より人間関係で悩むようになったそうです。

同時期より手指の振戦を自覚するようになり、部署を異動してからは手指振戦だけでなく、下肢の動かしづらさと全身の強ばりを感じ、仕事に支障をきたすため、A病院へ受診されました。

身体的な症状から「パーキンソン病」と診断され、A病院へ通院を続けていました。

出勤すると全身が強ばり動けなくなる、職場のことを考えると不安・抑うつ気分が高まるため、まともに仕事が出来ず休職するようになりました。

10年近くA病院での治療を続けていましたが、一向に改善がない事を不信に思い、セカンドオピニオンを求めてB病院へ受診されました。

B病院で精査を受けると神経学的な異常がないことから「パーキンソン病」は否定され、心因的要素が強いと考えられB病院の精神科へ紹介を受けました。

これまでの病状は「解離性運動障害」から来る症状であると確定診断を受け、解離性障害に加え「気分変調症による抑うつ状態」を呈していると診断され、症状に対する治療がようやく始まりました。

解離性運動障害による身体症状があるため、憂うつ気分、意欲低下が顕著で日常生活の身の回りのことにも多くの支援を受けていました。

仕事は出来る状態になく、退職となり、収入がない中で高齢の親に頼って生活を続けていくことにも限度があり、将来への大きな不安を抱えていました。

主治医の先生より通るかどうかは分からないけど障害年金の申請をしてみたら?と勧められ、ネットで見つけた当事務所にご相談を頂きました。

 

申請結果

今回の申請では「初診日」「傷病名」の2つが認定の鍵となりました。

ご相談者様はB病院へ転医した際にこれまでのA病院で長らく受けていた治療や診断が誤診であったことを知りました。

A病院で取得した書類より、A病院の初診時から既に「解離性運動障害」の病態を示していることが確認出来た為、誤診ではありましたが「パーキンソン病」と診断されたA病院を初診日として申請していくこととなりました。(ポイント①)

初診日が決まり、保険料の納付要件が問題ないことを確認し、診断書の作成依頼へと進めました。

現在通院されている病院の主治医の先生より「解離性運動障害」が主傷病であると事前にお伺いしていました。

「解離性運動障害」などの『神経症はその症状が長時間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象となりません。』

『ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り扱う。』とされています。(ポイント②)

そのため診断書を依頼する際に「精神病の病態を示している場合はその旨」を診断書に明記していただくよう依頼を行いました。

完成した診断書には神経症だけでなく、精神病の病態に係る記載がありました。

また、診断書の記載内容だけでは伝わりにくい具体的な病状や日常生活の状況等は病歴就労状況等申立書に詳述して提出しました。

結果「障害厚生年金3級」として認定されました。

 

【ポイント1】誤診は初診日になる?

障害年金では、誤診の場合であっても、正確な傷病名が確定した日ではなく、誤診をした医師の診療を受けた日が初診日となります。

通常、多くの方が発病後、最初はご自宅近くの個人病院に受診されると思います。

しかし、個人病院で調べられる傷病には限界があります。

そのため最初は正確な傷病名がつかないことがありますが、このような場合であっても最初に診察を受けた病院が初診日となります。

ただし、誤診の内容によっては初診日として認定されないケースもありますので、判断に迷った場合は専門家にお問い合わせください。

 

【ポイント2】強迫性障害などの神経症

強迫性障害、PTSD、パニック障害などを神経症と呼びます。

これらの神経症は、原則として障害年金の対象外となります。

但し、うつ病、統合失調症のような症状がある場合は、障害年金の対象となることもあります。

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