目次
対象者の基本データ
病名 | 高次脳機能障害 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
10年以上前より高血圧が続いており、かかりつけのA病院へ定期的に通院をされていました。
通院を継続する中で、医師より脳のMRI検査を勧められ、B病院でMRI検査を受けられました。
そこで未破裂脳動脈瘤があることが見つかり、C病院へ紹介を受け、破裂を起こしてしまう前に手術をすることとなりました。
手術箇所は脳の深部であったこともあり、リスクはありましたが手術は命に別状なく成功しました。
術後の簡易検査でも異常なしとされていたため、退院して日常生活に戻り、仕事にも復帰しました。
職場に復帰してから簡単なことが理解出来なかったり、処理スピードも遅く、失敗も多発し、これまで難なくこなせていたことが出来ず、適応困難で退職。
日常生活上でもミスや不注意が日常的に頻発しており、家事や身の回りのことの優先順位がつけられず、結果的に何もこなせず、日常生活は家族の支援がなければ成り立たない状況でした。
手術前後での違いに気づき、不安になった為、医療機関を受診し、要検査を実施したところ、「高次脳機能障害」と診断されました。
様々な場面で支障をきたし、社会生活への適応が困難なことから憂うつ気分、意欲低下が顕著となり、自宅にひきこもり状態となっています。
将来への不安から障害年金を受給できればと思い、当事務所にご相談いただくこととなりました。
申請結果
今回の申請のポイントは初診日となりました。
高次脳機能障害は怪我や病気により脳に損傷を負った場合に発症する傷病です。
今回のご相談者様は脳動脈瘤の手術以外の既往障害はなく、また脳に損傷を負うような外傷事由を負ったこともありませんでした。
つまり、脳動脈瘤の手術が高次脳機能障害の発症原因であり、手術を受けた日が初診日となると考えられました。
そのため手続きではまず手術を受けたA病院にて初診日の証明となる受診状況等証明書の作成を依頼しました。
しかし、完成した書類の内容を見ると「高次脳機能障害の簡易検査を実施したが、異常がなかったこと」など、高次脳機能障害については否定的な内容が記載されていました。
このまま初診日として申請しても手術を受けた日が初診日として認められるのは希望が薄く、その後異常を感じて受診したB病院を初診日として申請することも検討しました。
障害年金の初診日は様々な起点となる日です。(ポイント①)
もしB病院を初診日として申請する事となった場合、初診日から1年半経過していないため、まだ申請を行うことも出来ません。
一日も早く障害年金をお届け出来るよう、やはりA病院で手術を受けた日を初診日として取り扱ってもらえるよう申請方法を検討しました。
高次脳機能障害の傷病の特性、診断基準などの文献から、A病院で実施された検査内容だけでは、今回のご相談者様の状態や病状を把握することは困難であり、異常なしと判断されてしまった可能性が考えられました。
高次脳機能障害の専門医である確定診断をしたB病院の主治医の先生にこの仮定をもって、意見書の作成を依頼したところ、発病及び初診日は手術日であることについて、専門医の視点から非常に心強いご意見をいただき、主治医の先生の意見書と合わせて初診日について代理人申立て補足を作成し申請しました。
結果、申し立てた初診日が認められ、「障害基礎年金2級」として認定されました。
【ポイント1】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
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