【事例610】好酸球性多発血管炎性肉芽腫症|障害基礎年金2級

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
性別 男性
支給額 年額 約78万円
遡及金額 約377万円
障害の状態
  • 屋内外問わず、補助器具がなければ移動は困難
  • 四肢に感覚麻痺、運動麻痺あり
  • 身の回りの事も一人ではままならず、家族の支援が必要不可欠
  • 就労はとても出来る状態にない
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

10年程前、39℃以上の発熱、腹痛、下痢、嘔吐、不眠、食欲不振、倦怠感、無気力、四肢の痺れや関節痛、息切れ等の症状が出現し、数日間様子をみていましたが改善なく、医療機関へ受診されました。

かかりつけ医を受診し、処方された薬を服用しましたが症状改善なく、セカンドオピニオンを求めて転医されました。

転医先のB病院で胆泥や好酸球増多を指摘されましたが、確定診断には至らず、そうこうしている間にも症状は急激に悪化し、一人では移動も出来ず、外出も出来ない状態となりました。

その後も何箇所か病院をまわり、検査で白血球が異常に多いことを指摘され、精査加療目的に紹介状を貰い受け、転入院することとなりました。

入院先の医療機関で「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」と診断され、同傷病に伴う心疾患、消化器疾患、内臓疾患などに対する治療を受けられました。

上記障害は治療によりなんとか維持出来ているものの、肢体に現れている末梢神経障害はなおも四肢に残存しており、日常生活には全介助が必要な状態でした。

そんな中、ネットで障害年金制度を知り、他事務所に相談をしていましたが、コロナ禍ということもあり、やり取りが上手く出来ない為、当事務所にご相談いただくこととなりました。

 

申請結果

今回の申請では、確定診断に至るまで病院を転々としていた為、初診日がいつで認定されるか。

また請求傷病の特徴として、複数傷病を併発していたこともあり、併合認定の可能性がないか検討する必要がありました。

初診日については、まずは原則通り、症状を自覚して初めて受診した医療機関へ受診状況等証明書の作成を依頼しました。

傷病名が請求傷病と異なることは明らかですが、どのような症状で来院されたか、どのような治療をされたか、請求傷病の初診日証明のピースの一つとなるようにカルテから確認可能な限り、出来るだけ詳細に記載していただきました。(ポイント①)

この初診日証明だけでは初診日として認められるか不安であったため、診断書を作成していただく前に確定診断をした専門医の先生に初診時頃の症状などをお伝えし、医学的見地からみたご意見をお伺いすることとしました。

作成していただく診断書内に、今回の請求傷病に係る初診日について専門医の先生としてのご意見を記載していただきました。

初診日が整ったため、障害認定日が決まり、遡及請求を検討しました。

遡及請求を行うために必要となる障害認定日頃の診断書を記載するための検査が障害認定日頃には実施されておらず、通常であれば診断書が作成出来ないため、遡及請求を諦めざる得ない状況でした。

しかし、過去のカルテを振り返っていただき、カルテより確認可能な項目についてのみ診断書を作成していただくことができ、別途「請求傷病の症状の経過の特性」と「実際に障害認定前から現在までみてこられた症状の経過」について一筆記載いただくことで診断書の全ての項目に記載がなくても審査では障害状態の確認は可能と考えました。(ポイント②)

更に発症から現在までの症状経過について代理人申立てを作成し、医証に記載されている内容の補強を行いました。

結果「障害基礎年金2級」として認定され、約5年分の遡及請求も認められました。

 

【ポイント1】初診日が大切な理由

障害年金では、初診日が最も重要とされています。

なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。

①制度加入要件

初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。

 

②保険料納付要件

障害年金を申請するには、初診日の前々月から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。

 

③障害認定日の起算点

原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。

これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。

初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

【ポイント2】障害認定日の診断書がない場合の障害認定日による請求

障害認定日による請求を行う場合、原則として障害認定日頃の診断書が必要となります。

しかし、これはあくまでも原則論であり、必ずしも医証によらずとも、障害の程度を判断するための合理的な資料等が得られる場合には認定される余地があると考えられます。

障害認定日頃の診断書が得られないからといってすぐに諦めることなく、医証以外の方法で認定を得られないか一度検討する価値はあると思います。

ただし、全ての傷病で医証がなくても受給ができるというものでは有りませんので、ご注意ください。

 

その他の肢体の障害の事例

 

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