【事例606】うつ病|障害厚生年金2級(社会的治癒が認められた事例)

うつ病の障害厚生年金2級

対象者の基本データ

病名 鬱病(うつびょう)
性別 女性
支給額 年額 約112万円
遡及金額 約151万円
障害の状態
  • 意欲低下が著しく、入浴や食事といった自身の身の回りのことも十分に行えない
  • 対人関係の構築も消極的で、自宅にこもりがち
  • 近所へ買物に外出することさえ思うようにできない状態
  • 精神障害者保健福祉手帳なし
申請結果 障害厚生年金2級

 

ご相談までの経緯

15年程前より車や電車に乗る事に対し漠然とした不安や恐怖を感じるようになりました。

営業の仕事に就いていたため、移動で公共交通機関を利用することが多く、徐々に症状は悪化し、動悸や目眩等の症状も出現するようになったため、A心療内科を受診されました。

「パニック障害」と診断され、精神療法・薬物療法を行うことで症状は軽快した為、通院は中断されました。

A心療内科終診後、約6年半経過した頃に自転車に乗っていた際に車と衝突する事故に遭い、不安等の症状が再燃。

外出が怖くなり、仕事を休むことが増えました。

次第に憂うつ気分や不眠、希死念慮などの症状も呈するようになりました。

B病院へ受診し、「うつ病」と診断され、現在も治療を継続していますが症状改善は乏しく、憂うつ気分、希死念慮、意欲低下などの症状があり、自宅内の家事も殆どこなせず、家族の支援が必要な状況です。

社会復帰も困難な状況で将来への不安を抱え、知人より障害年金の申請を勧められたことをきっかけにネットで制度について調べるようになりました。

体調が優れない中での年金事務所への度重なる来庁や書類の作成は困難で手続きは難航していました。

そんな中で当事務所を知り、ご相談いただきました。

 

申請結果

今回のご相談者様の場合、A心療内科終診後、症状が再燃し、B病院を受診されるまでの間の期間の申立てがポイントとなりました。

当該期間中の経過についてご本人様にお伺いすると、「A心療内科での治療により症状が軽快したため、B病院を受診するまでの期間は自覚症状もなく、生活や就労にも何ら支障なく過ごせていた」とのことでした。

これらの状況を申請書類にしっかりと反映して申請することで、当該期間を゛社会的治癒期間”として、症状再燃後に受診したB病院を初診日として認められる可能性があると考えられました。(ポイント①)

現在のB病院の医師には、A心療内科への受診歴やその後の経過についてB病院の初診時に話されているとのことでしたので、診断書にはA心療内科受診から現在までの経過についてありのまま記載いただきました。

また、病歴就労状況等申立書においてもA心療内科へ受診に至る経緯や治療経過、その後B病院を受診するまでの症状や生活状況の経過について詳述し、社会的治癒を申立て、B病院を初診として申請しました。

結果、社会的治癒は認められ、申し立てた日が初診日として認定されたことで、遡及請求は「障害厚生年金3級」、事後重症請求は「障害厚生年金2級」として支給が決定しました。

社会的治癒は保険者(審査機関)側から持ち出して審査してもらうことはできませんので、請求人が申し立てていく必要があります。

社会的治癒を適用することが妥当かどうかの判断、また申し立てる場合は請求書類の組み立ても大切になりますので、困った場合はぜひ専門家にご相談ください。

 

【ポイント1】社会的治癒

社会的治癒が認められると、初診日が変わります。

社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。

今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。

障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!

社会的治癒の事例
障害年金制度の社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。

 

その他の精神の事例

 

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