目次
対象者の基本データ
病名 | 線維筋痛症・反復性うつ病性障害 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約129万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
朝起きると首が動かせないくらいに痛みが生じるようになり、腰、背中などにも痛みが広がってきたそうです。
脱力感やめまいもあり心配になり、定期的に通院している病院で相談したところ、整形外科を紹介されました。
整形外科では、痛みに対しての薬物療法を行いました。
しかし、全身の疼痛、こわばり、しびれ、目や口の乾燥、めまいなどもあり、体調は改善しませんでした。
主治医と意見の相違などで合わず、転医しましたが、全身の疼痛やふらつきなどは変わらないままでした。
経済的にはどうしても働かなければならず、痛みで立っていられないほどでありながら、体を引きずるようにして就労していました。
医師より働くことを止められたにもかかわらず、無理をして就労したことにより、症状はどんどん悪化。
医師とのコミュニケーションも上手に取れなくなり、通院が困難となりました。
全身の疼痛についての受診はできていなかったものの、うつ病で通院していた病院で相談し、痛みについて診てもらえる病院を紹介してもらいました。
ようやくそこで線維筋痛症と診断がつき、現在も投薬を続けておられます。
病院でステージⅢに該当すると言われたことから、障害年金の対象となるのではないかと当事務所へお問い合わせをいただきました。
申請結果
今回のご依頼で一番のポイントとなるのは「初診日」でした。
ご依頼者様のこれまでの通院歴をお伺いすると、線維筋痛症とは診断されていなかったけれど、長期に渡り体の痛みで通院を続けておられました。
線維筋痛症のような難病の場合、「初診日がどこになるのか」はとても見極めが難しいです。(ポイント①②)
線維筋痛症の患者様に処方されるお薬が出された病院の初診日を、障害年金上の初診日として申し立てました。
通院歴をまとめ、現在の症状や日常生活動作の困難さを記載した資料を作成し、通院中の病院へ診断書の作成を依頼しました。
線維筋痛症の場合は、「線維筋痛症の重症度分類試案(厚生労働省研究班)」により、症状の度合いについてステージⅠ(軽度)~ステージⅤ(重度)のどれに該当するかを診断書に記載して頂く必要があります。
また、関節可動域などの測定も必要となります。
主治医の先生に、障害年金の請求上、計測が必要なことやステージの記載についてご協力をいただくことができ、ご依頼者様の様子をしっかりと反映した内容で診断書を作成していただくことができました。
結果、無事に初診日も認められ障害厚生年金2級となりました。
【ポイント1】難病の初診日特定
障害年金上『病気で初めて医師等の診察を受けた日』を初診日としています。
しかし原因不明の難病等では、確定診断を得るまでに病院を転々としているケースも多く、通院歴が複雑であることから初診日の特定が大変困難となります。
よって、最初にこれまでの病歴を整理して『初診日』を特定させることが大切となります。
【ポイント2】難病での特殊な初診日の考え方
線維筋痛症や慢性疲労症候群といった難病の場合は、確定診断までに、病院を転々としたり、長く時間が掛かるケースがあります。
本来の初診日の考え方は、体調が悪くなり最初に医療機関を受診した日が初診日とされています。
しかし難病の場合は、確定診断日を初診日とする傾向が増えてきています。
ただし発病から現在の症状や医師の意見、各病院での検査結果などにより、原則どおり体調が悪くなり最初に医療機関を受診した日が初診日と認定されることもあります。
そのため、治療内容や経過を良く精査し因果関係の有無を考えながら、申請の方針を定めていく必要があります。
【ポイント3】線維筋痛症の障害年金とステージの目安
線維筋痛症は「線維筋痛症の重症度分類試案(厚生労働省研究班)」により、症状の度合いをステージⅠ(軽度)~ステージⅤ(重度)の5段階に分類されています。
必ずしもステージと障害年金の等級は一致はしないですが、目安としては以下のようになります。
- ステージⅡ~Ⅲ:3級
- ステージⅢ~Ⅳ:2級
- ステージⅤ:1級
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