目次
対象者の基本データ
病名 | 自閉症スペクトラム障害・適応障害・視線恐怖など |
---|---|
性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
小学校時代から集団へなじめない違和感を抱えておられました。
体操服に着替える、授業の準備をする、等の動作が人より遅く、いじめを受けることもあったそうです。
中学に入っても、周囲と上手にコミュニケーションを取ることができず、勉強にも遅れが生じ始めました。
高校入学後より徐々に自信を失い、対人恐怖がひどくなり始めました。
そのため通学が困難になり学校を休むこともありました。
物音に敏感になり、椅子の音がうるさく感じ、周囲からの視線を過剰に気にするようになりました。
自分は周りの人たちと何かが違う、と感じて受診することを決意。
しかし、その病院の主治医と方針が合わず、通院を中断してしまいます。
その後、浪人生活を経て大学生になりましたが、これまでと同様、人目や物音が気になり通学ができなくて中退となりました。
夜間のコンビニでアルバイトを始めますが、空気を読めず対人関係が悪化し、ここもすぐに辞めてしまいました。
自分は発達障害なのではないかと疑いを持ち、専門的に診てくれる病院を探して受診、広汎性発達障害と診断されました。
その後、働こうと仕事に就くものの、どこにいっても長続きしませんでした。
やっと理解のある職場が見つかり、現在は、1人でできる仕事に就き、配慮を受けながら勤務を継続しています。
そんな時、障害年金のことを知り、何社か社労士事務所に問い合わせるも、就労をしていることから断られてしまいます。
本当に自分は障害年金を受けることは難しいのだろうかと、弊社にお問い合わせをいただきました。
申請結果
ご依頼者様の初診日はヒアリングで、「20歳前」であることは間違いなかったのですが、明確な時期までは、わからない状況でした。
20歳前傷病による障害認定日は、初診日から1年6ヶ月を経過した日が20歳より前にあるか、後にあるかで取り扱いが異なります。(ポイント①)
そこで、ご依頼者様の記憶をもとに、順に病院を探すことにしました。
その結果、17歳頃が初診であることが判明、障害認定日は20歳到達日と決まりました。
遡及請求できるかどうかを検討するため、20歳頃に受診がなかったかを確認すると、受診しておられることがわかりました。
さっそく当時の病院に診断書作成の依頼をしたのですが、カルテの保存期間を過ぎており、カルテがないため作成ができないと断られてしまいました。(ポイント②)
ご病気の特性から、20歳当時も同じような障害状態であったことが予想されましたので、診断書の代わりにその他の参考資料を添付して遡及請求もあわせて行うこととしました。
現在の状態を表す診断書も必要ですので、現在通院中の病院へ診断書作成を依頼するにあたり、ご本人様の症状をヒアリングした資料を橋渡ししました。
就労に関して、特別な配慮を受けておられるから継続できていることも、医師によって確認いただき、その旨が記載された診断書を取得出来ました。
申請した結果、遡及請求は残念ながら認められませんでしたが、事後重症請求で障害基礎年金2級に認定されました。
【ポイント1】20歳前傷病による障害認定日請求
20歳前傷病の場合の障害認定日は初診日から1年6ヵ月を経過した日が20歳到達日より前にあるか、後にあるかによって取り扱いが変わります。
(※20歳到達日:20歳の誕生日前日のことを言います)
- 初診日から1年6ヵ月経過した日が20歳到達日よりも前にある場合:20歳到達日が障害認定日
- 初診日から1年6ヵ月経過した日が20歳到達日よりも後にある場合:原則通り初診日から1年6ヵ月経過した日が障害認定日
20歳前傷病による障害認定日請求を行う場合、上記障害認定日の前後3ヵ月以内現症の診断書が必要となります。
【ポイント2】診断書を発行して貰えない
障害年金の申請を行う中で、稀に診断書等の作成を断られるケースがあります。
基本的には「医師は患者から発行を求められた場合、正当な理由が無い限り診断書の作成を断ることが出来ない」とされています。
そのため作成できない理由は、カルテの保存義務が過ぎており既に破棄している場合が大半となります。
またカルテがあっても作成を断れた場合は『必要な書類の種類』や『証明して貰いたい内容』『診断書の使途』などをきちんとお伝えすることで、作成して貰えることがほとんどです。
その他の精神の事例
精神の障害の新着事例
よく読まれる精神の障害の事例