【事例552】双極性障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)|障害基礎年金2級(10箇所近く転院していた事例)

双極性障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 双極性障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)
性別 女性
支給額 年額 約78万円
障害の状態
  • 不安、意欲低下、抑うつ気分が悪化しており、1日の殆どを臥床して過ごしている
  • 付添いなしでは外出することも困難
  • 日常生活ではヘルパー、訪問看護サービスを利用している
  • 精神障害者保健福祉手帳2級
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

幼少期から忘れ物や不注意、落ち着きのなさを自覚していましたが、医療機関へ受診することはなかったそうです。

大学卒業後就職しても仕事は長く続ける事が出来ず、婚姻して家庭に入っても家庭内の家事などの優先順位がつけられず、家族から注意や指摘される事が多く、社会生活だけでなく、日常生活にも支障をきたしていることに抑うつ状態を発症し、医療機関への受診に至りました。

現在まで10箇所近くの医療機関を転々としていますが、症状改善は乏しく、現在は注意欠陥多動性障害をベースとした「双極性感情障害」をメインに治療を続けています。

就労移行支援を利用していた際に、障害年金を受給している人が周囲にいたため障害年金のことは知っていましたが、体調も芳しくなく、申請の準備をすることは困難でした。

サポートを受けるため他事務所の社労士に相談したこともあったそうですが、難しいと断られたこともあり、半ば諦めかけていたところ当事務所にご相談を頂きました。

 

申請結果

初診日が10年以上前で通院歴が長く、病院も10箇所近く転々としていたため、詳細なヒアリングを重ね、通院歴の整理から始めました。

初診病院から受診歴の古い順に連絡を取りましたが、既に廃院していたり、カルテが破棄されているなどで、初診日の証明となる受診状況等証明書が取得出来たのは、5番目に受診した病院でした。

しかし、取得した受診状況等証明書には初診病院からの経緯や初診日の明らかとなる内容の記載はなされておらず、これだけでは初診日証明書類としては不十分であり、申請が困難でした。

最初のヒアリングの際に既に廃院となった病院で初めて精神障害者保健福祉手帳の申請をしたというお話を聞いていたため、申請した役所に手帳申請時の診断書・意見書が残っている可能性が考えられました。

すぐに連絡を取り、初回申請時の診断書は既に廃棄されていましたが、初回以降更新時の診断書を3通取得することができ、初診日を証明するための十分な内容の記載があり、これにより初診日証明書類を整える事が出来ました。

初診日が整ったため、次に診断書の作成依頼へと進めました。

初診日証明書類の内容と日常生活の状況を主治医の先生に橋渡しし、これまでの経過・状態が的確に反映された診断書を作成していただくことが出来ました。

申請の結果、無事「障害基礎年金2級」として認定されました。

 

【ポイント1】初診日の証明が出来ない場合

障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。

初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。

この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。

そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。

この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。

ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。

申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。

客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。

  • 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
  • 身体障害者手帳等の申請時の診断書
  • 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
  • 事業所等の健康診断の記録
  • 母子健康手帳
  • 健康保険の給付記録
  • お薬手帳、領収書、診察券
  • 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
  • 第三者証明

など

受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。

なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。

 

その他の精神の事例

 

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