目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約112万円 遡及金額 約18万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
娘様よりお問い合わせ頂きました。
お母様は、昨年、職場でパワハラに合い、強いストレスを感じ、不眠や目眩、吐気、動悸などの症状が出現したため、かかりつけの内科を受診されたそうです。
医師から、メンタルの病院での治療を勧められ、心療内科へ転院となります。仕事もドクターストップで休職となりました。
心療内科では薬物療法、精神療法を受けておられましたが、症状が悪化し、食事もできなくなり入院することになります。
退院後も意欲の低下で、1日中、部屋に引きこもり、横になって無為な日々を過ごしています。
復職もできる状態ではありません。
以前より、お母様のご心配をされていた娘様は、手帳の手続きに行かれた際、窓口の方から障害年金の申請を勧められます。
娘様は、お母様に障害年金が支給されれば経済的な心配もなくなり治療に専念できるとお考えになり、お母様に代わって、当事務所にご相談を頂く事になりました。
申請結果
本事例は、障害認定日から1年以内の請求となるため、「本来請求」での申請となります。<ポイント①>
必要な医証は、「受診状況等証明書」と障害認定日から3ヵ月以内の障害の状態で作成された「診断書」です。
手続きとして、最初に、初診病院である内科に「受診状況等証明書」を依頼しました。
ここで、大きな問題が起こります。
初診病院にはカルテは残っていましたが、内科医なので精神に関する医証には記載できないと言われました。
その為、初診証明として、「受診状況等証明書が添付できない申立書」に初診病院の診察券、休職の際、会社に提出した初診病院の診断書を添付して初診証明としました。<ポイント②>
初診証明で少し時間を要しましたが、「診断書」に関しては、前もって資料を作成し医師に橋渡しをすることで、スムーズに入手できました。
「診断書」の内容も、ご相談者様の状態を正確に反映したものになっていました。
初診証明には不安が残りましたが、全ての提出書類が一通り揃い、申請することになります。
その後、ある程度想定はしていましたが、初診日の証明についての返戻が有り、初診病院の内科の受診状況等証明書若しくは、協会健保のレセプトの提出を求められました。
そこで、初診病院の内科に再度、受診状況等証明書を依頼しましたが、当初の理由により断られました。
次に、協会健保に連絡して、初診日の属する月のレセプトを依頼しました。
1ヵ月ほど時間を要しましたが、レセプトを取得でき、内容を確認後、日本年金機構に返送いたしました。
結果は、無事、初診日が認められ、『障害厚生年金2級』に認定され、障害認定日の翌月分からの年金を支給されることになりました。
【ポイント1】障害認定日から1年以内の請求方法
障害認定日から1年以内に障害年金を請求する方法を本来請求(障害認定日請求)と言います。
診断書は、原則『障害認定日から3ヵ月以内のもの』を用意します。
認定された場合は、障害認定日の翌月から障害年金が支給されます。
なお、障害認定日から1年以上経過してから障害認定日請求を行う場合は、下記の2枚の診断書が必要となります。
- 原則、障害認定日から「3ヵ月以内」のもの:1枚
- 請求日から「3ヵ月以前」のもの:1枚
【ポイント2】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は必ずカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
その他の精神の事例
精神の障害の新着事例
よく読まれる精神の障害の事例