目次
対象者の基本データ
病名 | 統合失調症(とうごうしっちょうしょう) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は、中学生の頃に被害妄想を持つようになり、クラスメートとのコミュニケーションが取れず不登校になります。
その後、引きこもり傾向が強まり、心配したご両親に付き添われて医療機関を受診されました。
薬物療法を続けることで、症状が軽減したため自己判断で受診を中断されました。
中学卒業後は、通信制高校に進学、そして第一志望の大学に入学されます。
ただ、大学生になり、環境が変わったことで、精神的に不安定になり自傷行為も始まり、再び、受診することになったそうです。
しかし、症状は一進一退で、大学卒業後は就職されますが、1ヵ月も続かず、短期間での転職を繰り返すことになります。
今では、症状が悪化し、就労もできません。
将来の不安を強くお持ちでしたが、相談相手もおらず一人で悩んでおられました。
そんな時、当事務所のホームページで障害年金の制度を知り、ご相談を頂く事になりました。
申請結果
ご相談者様は、遡及請求をご希望でした。
初診日が中学生の頃なので、20歳に到達した日が障害認定日となり、遡及請求するためには障害認定日前3ヵ月から障害認定日以後3ヵ月の間の診断書が必要になります。<ポイント①、②>
そこで、ご相談者様に障害認定日頃の状況をヒアリングしました。
当時は、大学生で、授業も休むことなく出席できており、帰宅後はアルバイトもしていたことが分かりました。
大学で友人とのトラブルも多少あったようですが、遡及は難しいとお伝えしました。
ただ、どうしてもチャレンジしたいというご相談者様のご希望があり遡及請求での申請となります。<ポイント③>
まず、初診の病院に「受診状況等証明書」(初診日の証明書)、続けて障害認定日の「診断書」を依頼しました。
いずれも、今から10年以上前になるのでカルテが残っているか心配でしたが、いずれも無事に取得できました。
そして、現在の障害の程度を現す診断書を依頼することになります。
診断書依頼の際は、ご相談者様の日常生活等をまとめた資料を作成し医師に橋渡ししました。
全ての書類が整い、事後重症請求については認定される可能性はあると確信できましたが、遡及については祈るような気持ちで申請をしました。
結果は、事後重症については『障害基礎年金2級』に認定されましたが、遡及については残念ながら認定されませんでした。
【ポイント1】20歳前傷病による障害認定日請求
0歳前傷病の場合の障害認定日は初診日から1年6ヵ月を経過した日が20歳到達日より前にあるか、後にあるかによって取り扱いが変わります。
(※20歳到達日:20歳の誕生日前日のことを言います)
- 初診日から1年6ヵ月経過した日が20歳到達日よりも前にある場合:20歳到達日が障害認定日
- 初診日から1年6ヵ月経過した日が20歳到達日よりも後にある場合:原則通り初診日から1年6ヵ月経過した日が障害認定日
20歳前傷病による障害認定日請求を行う場合、上記障害認定日の前後3ヵ月以内現症の診断書が必要となります。
【ポイント2】20歳より前に初診日がある場合の障害等級
初診日が10代の場合などは「20歳前傷病」となります。
20歳前傷病は、年金未加入のため障害等級「2級以上」に該当する必要があります。
3級はありませんのでご注意ください。
【ポイント3】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
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