目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約110万円 遡及金額 約210万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は、平成28年頃より早朝覚醒が続くようになります。
しばらく様子を見ておられましたが、症状は改善せず、強い疲労感とともに気分の落ち込みや希死念慮まで出現したため医療機関を受診されました。
当初は就労しながら外来加療を受けておられましたが、やがて入院するほどまでに症状が悪化します。
その後、症状がやや軽減し退院されますが、疲労感や気分の低下、希死念慮が続き、日常生活も家族の介助・支援が無いと成り立たない状況で、お仕事も休職されていましたが、復帰の見込み立たず解雇を告げられました。
現在はご家族の支援の下、日常は訪問看護サービスを受けておられます。
しかし、ご家族のご負担を少しでも軽減したく思い、再就職を考えますが、とても今の状態ではお仕事につくことができません。
いろいろお悩みになっていましたが、病院の相談員の方から障害年金の制度について教えてもらったことがきっかけで、受給の可能性や手続き方法について当事務所にご相談を頂きました。
申請結果
ご相談者様は、途中、入院のため1ヵ月程、転院していた時期を除けば、初診から現在まで同じ病院を受診されています。
また、重い症状が初診時より、改善することなく現在まで続いています。
そこで、遡及請求で手続きを進めていく事にしました。
<申請方法につきましては、ポイント①をご参照ください。>
本事例では、初診から現在まで同じ病院を受診されていますので、「受診状況等証明書」は不要です。
<ポイント②もご参照ください。>
必要な医証は、「障害認定日から3ヵ月以内の障害の状態で作成された診断書」と「請求日以前3カ月以内の障害の状態で作成された診断書」です。
診断書は2部とも同じ医師に記載をお願いすることになります。
医師には、障害認定日頃及び現在の日常生活の状況について、それぞれ資料を作り、診断書作成をして頂くにあたっての橋渡しをしました。
また、「診断書」では表せない発症から現在までの全体の流れについては、「病歴就労状況等申立書」を作成することで補いました。
特に、発症の頃は就労されていましたが、休職、退職となった経緯については、「病歴就労状況等申立書」に詳細に記載しました。
<就労に関しては、ポイント③をご参照ください。>
全ての書類が不備なく完成し、自信を持って申請することができました。
結果は、『障害厚生年金2級』に認定され、遡及も認められました。
【ポイント1】認定日請求で過去の分を受給
何らかの理由で障害年金の請求が遅れてしまったり、手続きを忘れていた場合には認定日請求(遡及請求)という方法があります。
認定日請求(遡及請求)とは、障害認定日(原則的には初診日から1年6ヶ月後)の状態が定められた症状に該当すると、貰い忘れていた障害年金を一括で受け取れる可能性があります。
なお、遡って受給ができるのは時効の関係上、最大で5年までと決められています。
認定日請求(遡及請求)の事例は以下のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
https://nenkin.info/tag/sokyu-seikyu/
以下の動画でも遡及請求のポイントをご説明していますので是非ご覧ください。
【ポイント2】初診病院と現病院が同じ場合の医証
障害年金では医師に記載して貰う書類(医証)は下記のとおり複数枚あることが基本です。
①初めて受診した病院で記載してもらう『受診状況等証明書』が1枚
②現在の病院で書いてもらう『診断書』が1枚
一方、初診から現在まで同じ病院で、今後の障害年金のみを請求する場合は、①が不要となり、②の1枚でOKです。
(※)認定日請求といって過去にさかのぼって申請を行うときはさらにもう1枚必要となることがあります。
【ポイント3】精神疾患と就労
必ずしも「就労している=不支給」とは限りません。
とはいえ、精神疾患の場合は、審査上、就労の有無が重要なポイントとなってきます。
就労している継続年数や、就労形態についても審査では見られます。
就労している場合は、会社から受けている配慮や、帰宅後や休日の体調などを申し立てることも必要です。
たとえば、体調が悪化した場合の早退、通院のための遅刻や、その他、業務を行う上での配慮を受けていれば、そのあたりも記載します。
また、なんとかがんばって会社に行けても、帰宅した途端どっと疲れが出て寝込んでしまう場合や、休日は家事も一切できない場合なども、医師にしっかり伝え、診断書に反映していただくことも大切です。
障害年金と就労に関しては以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
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