目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約93万円 遡及金額 約460万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害共済年金3級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は、20年ほど前、仕事上のストレスで不眠や不安感が出現し医療機関を受診されました。
1か月ほどの通院で症状も改善したため受診は中断となったそうです。
その後は日常生活、就労ともに何の支障もなく過ごされていましたが、10年ほど前に突然、不眠や不安感などの症状が現れたため、再び、受診することになります。
今回は、受診を続けるも症状は悪化し、希死念慮も強まり、入退院を繰り返すことになりました。
仕事も出来る状態ではなく長期休職されていました。しかし、仕事をする気力も戻らず退職を余儀なくされることになります。
退職後は、自宅に引きこもっており、知人の支援・介助がないと日常生活も成り立たない状況です。
また、退職したことで収入も無くなり、経済的な不安をお持ちでした。
そこで知人の方に相談したところ、障害年金の申請を勧められました。
ぜひ申請したいと思い書類を取り寄せましたが、とても今の自分では手続きができないと思い、ネットで当事務所のホームページをご覧になりお問い合わせを頂く事となりました。
申請結果
ご相談者様から、今迄の経緯をヒアリングし、初診証明さえできれば、受給の可能性は高いと判断しました。
ところが、初診のA病院では当時のカルテが残っておらず、受診状況等証明書(初診日の証明書)は入手できませんでした。
ただ、A病院で症状が軽減したため受診が中断となり、次のB病院受診までの約10年間は、受診することなく、日常生活、就労ともに支障なく過ごしておられましたので、社会的治癒を主張し、B病院を初診病院として申請することにしました。<社会的治癒につきましては、ポイント①もご参照ください。>
手続きとしては、まず、B病院に受診状況等証明書を記載して頂きました。
また、ご相談者様は障害認定日頃の症状も現在と変わらないため、遡及請求をすることにしました。<遡及請求及び時効に関しましては、ポイント②、③もご参照ください。>
診断書依頼の際は、ご相談者様の日常生活や就労に関する資料を作成し医師へ橋渡しをしました。
また、病歴就労状況等申立書には、社会的治癒を主張する期間については、治療の必要が無く一度も受診していなかった事、そして、通常の社会生活を送っていたことを詳細に記入しました。
社会的治癒を認めるかどうかは保険者の判断となりますが、全ての書類が整い無事、申請にこぎつけました。
しかし、申請後に受給権が5年で消滅するために、共済組合独自の制度として、「申請時から5年前の診断書」の提出を求められました。
急遽、5年前の診断書を取り寄せ提出しました。
審査途中で返戻もあったため、結果が出るまでに時間を要しましたが、『共済年金3級』に認定され、5年間分の遡及も認められました。
【ポイント1】社会的治癒
社会的治癒が認められると、初診日が変わります。
社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。
今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。
障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!
【ポイント2】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
【ポイント3】認定日請求で過去の分を受給
何らかの理由で障害年金の請求が遅れてしまったり、手続きを忘れていた場合には認定日請求(遡及請求)という方法があります。
認定日請求(遡及請求)とは、障害認定日(原則的には初診日から1年6ヶ月後)の状態が定められた症状に該当すると、貰い忘れていた障害年金を一括で受け取れる可能性があります。
なお、遡って受給ができるのは時効の関係上、最大で5年までと決められています。
認定日請求(遡及請求)の事例は以下のページでご紹介していますので、ご参照下さい。
以下の動画でも遡及請求のポイントをご説明していますので是非ご覧ください。
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