目次
対象者の基本データ
病名 | 両特発性大腿骨頭壊死(人工関節) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約59万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は、平成28年秋ごろに発熱があり内科で感冒薬を処方されます。
しかし、症状は改善せず、関節痛や全身倦怠感の症状まで現れ、大学病院へ転院されたそうです。
大学病院で、精査の結果、成人スティル病と診断されました。
そして、ステロイド治療が始まります。約1年間の受診で成人スティル病は治癒しステロイド治療も終了しました。
ただ、その後、両股関節に痛みが出現し、整形外科を受診したところ、両特発性大腿骨頭壊死と診断され、人工関節を挿入されることになります。
現在は、仕事もできず、経済的な不安をお持ちでしたが、病院で人工関節を挿入した場合は障害年金を受給されることを教えて頂き、申請する決断をされました。
当初はご自身で手続きをするお考えでしたが、手続きが煩雑でとても自分ではできないと思い、当事務所へ代行のご相談を頂く事になりました。
申請結果
人工関節を挿入置換した事例ですので、不備なく書類を提出できれば3級鉄板です。
ただし、本事例では初診日の確定が困難でした。
ご相談者様は、成人スティル病の治療でステロイドを処方されていました。
そこで、成人スティル病と両特発性大腿骨頭壊死が相当因果関係があると考えると、成人スティル病の初診を初診日として申請することになります。
しかし、相当因果関係が無いと判断すれば、股関節の痛みで最初に医療機関を受診した日を初診日としての申請になります。<相当因果関係につきましては、ポイント①をご参照ください。>
以上の判断が難しいため、それぞれの病院から「受診状況等証明書」を取得し、どちらが初診日と認定されても問題のないように手続きを進めました。
「診断書」や「病歴就労等申立書」では、最初に受診した成人スティル病の初診を初診日として、事後重症請求で申請しました。
結果は、股関節の痛みで最初に医療機関を受診した日を初診日として認定され、障害認定日の特例が該当することで、本来請求となり、『障害厚生年金3級』に認定されました。<障害認定日の特例につきましては、ポイント②をご参照ください。また、本来請求につきましては、ポイント③をご参照ください。>
【ポイント1】 相当因果関係について
「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。
つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。
例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。
- 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
- 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
- 肝炎→肝硬変
- 結核の化学療法による副作用として聴力障害
- ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
- 事故または脳血管疾患→精神障害
他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。
相当因果関係に関する事例は以下のページでご紹介していますのでご参照下さい。
【ポイント2】人工関節はいつから請求できる?
原則的には障害年金は初診日から1年6ヶ月経過後に障害年金が請求できる様になります。
しかし、人工関節は障害認定日の特例が認められています。
初診日から1年6ヶ月以内に手術を行った場合はその日以降であれば障害年金の請求が可能となります。
また、障害年金を貰えたのを知らずに長年来た場合であっても、この特例に該当する場合であればもらい忘れていた障害年金を最大5年分まで遡って受給出来る可能性があります。
【ポイント3】障害認定日から1年以内の請求方法
障害認定日から1年以内に障害年金を請求する方法を本来請求(障害認定日請求)と言います。
診断書は、原則『障害認定日から3ヵ月以内のもの』を用意します。
認定された場合は、障害認定日の翌月から障害年金が支給されます。
なお、障害認定日から1年以上経過してから障害認定日請求を行う場合は、下記の2枚の診断書が必要となります。
- 原則、障害認定日から「3ヵ月以内」のもの:1枚
- 請求日から「3ヵ月以前」のもの:1枚
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