目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう)・不安神経症 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約59万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害共済年金3級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は、平成16年頃から、仕事上のストレスで不眠、食欲不振の症状が現れ悩まれていました。
しばらくは市販薬を服用し様子を見られていましたが、症状は悪化し、仕事中に目眩や頭痛、息苦しさなどの症状まで出てきたため病院を受診されました。
「不安神経症」と診断され、薬を処方され1か月ほどで症状は治まったため受診も中断となりました。
その後、約5年間、全く症状も出なかったため、受診することなく就労しながらお過ごしでした。
ところが、突然、以前と同じような症状が現れました。
身体的な病状により意欲・集中力も低下し、仕事も欠勤が目立つようになります。
再び受診したところ、前回と違い「うつ病」と診断されました。
受診して薬物療法、精神療法を続けるものの症状は改善せず、日常生活も家族の介助・支援が必要で、仕事も続けられる状態ではなく退職となりました。
現在も、仕事ができず収入もないため、経済面でもご家族へ負担をかけています。
ご相談者様は、最低限、自活できなければ自分の居場所が無くなると感じていました。
知人が障害年金を受給されていることを思い出し、ご自身も申請することを決断されます。
ただ、自分で申請手続きをすることはとても出来そうもなく、ネットで障害年金の実績のある当事務所のホームページをご覧になり代行依頼のご相談を頂きました。
申請結果
ご相談者様は看護師として病院に勤務されていました。そして、勤務中に目眩や頭痛、動悸などの症状が現れ、勤務先の病院で受診することになります。
これが初診となりますが、今から15年以上前のことでカルテも残っておらず、「受診状況等証明書」(初診の証明)は入手できませんでした。
しかし、ご相談者様が「診察券(初診日の記載にあるもの)」及び、初診時にで処方して頂いた薬の記載がある「お薬手帳」をお持ちでした。
そこで、「受診状況等証明書が添付できない申立書」に「診察券」と「お薬手帳」のコピーを添付して初診証明をすることができました。<受診状況等証明書につきましてはポイント①をご参照ください。>
なお、本来ならば2番目の病院に「受診状況等証明書」を依頼する必要がありますが、本事例では、現在受診されている病院が2番目の病院にあたり、「受診状況等証明書」を取る必要はありません。
次に、請求方法を考えました。
ご相談者様は、障害認定日(初診日から1年6ヵ月経過した日)の頃は、症状が改善されており受診されていませんでした。
従って、遡及請求はできず、事後重症請求での手続きを進めることになりました。<請求方法につきましては、ポイント②をご参照ください。>
事後重症請求では、現在の障害の程度を現す「診断書」が必要です。
現在の病院に「診断書」を依頼することになりますが、ここで大きな問題が起こりました。
医師から、傷病名が「不安神経症」と告げられます。
不安神経症は障害年金の対象でないため申請ができません。
すぐ、医師に傷病名を確認しました。
医師からは「不安神経症」発症後に二次障害としてうつ症状が生じている事、そして「憂うつ気分」の症状があることも認めて頂きました。
そこで、「診断書」の備考欄に『現在は不安症状よりも抑うつ、意欲低下、自閉傾向が強くうつ病(ICD10コード F32.1)の状態にある。』と明記して頂くことができました。<神経症につきましては、ポイント③をご参照ください。>
傷病名の問題も解決し、自信を持って申請することができました。
結果は、無事『障害共済年金3級』に認定されました。
【ポイント1】初診日の証明が出来ない場合の対処法
障害年金では初診日の証明がとても重要です。
この証明に使う書類を受診状況等証明書といいます。
これが取得出来なければ、最悪、請求ができなくなります。
特に、初診日がかなり昔の場合、当時の病院が廃院になっていたり、カルテがなく「受診状況等証明書」を書いてもらえないといった事が起こります。
この時は、古い順に「受診状況等証明書」が取れるまで病院に作成を依頼していきましょう。
また、紹介状があれば忘れずに頂きましょう。
それと同時に、初診の病院を受診していた証拠になる物(診察券や領収書、お薬手帳など)なども探して下さい。
こういった資料を「受診状況等証明書が添付できない申立書」と一緒に提出すれば初診日として認定される可能性があります。
また、カルテがないという理由で「受診状況等証明書」作成を断られても、病院のパソコンに通院記録が残ってる場合もありますので、確認して下さい。このように、すぐに諦めず、いろいろな方法を探っていきましょう。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
【ポイント3】強迫性障害などの神経症
強迫性障害、PTSD、パニック障害などを神経症と呼びます。
これらの神経症は、原則として障害年金の対象外となります。
但し、うつ病、統合失調症のような症状がある場合は、障害年金の対象となることもあります。
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