目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約173万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
子供の頃より家族からの虐待などにより情緒不安定な時期が長く合ったとのことでした。
会社員として勤務していたころ初めてメンタルクリニックを受診したところ「うつ病」と診断されました。
発症以降、症状は悪化し続け、会社は退職されました。
その後に婚姻し第一子、第二子を出産。
しかし錯乱状態は続き、安全保持のため、お子さまは施設に入所。
常にご主人が付き添うようになりましたが、収入も途絶えてしまうことから不安を感じられていたと言います。
何か受給できる福祉制度は無いかと探された中で障害年金を知り、ご相談に来られました。
申請結果
ご依頼者様の症状はとても悪く、社労士にも会うことも出来ない状況だったため、ご主人様と進めることになりました。
今回の一番のポイントは初診の証明でした。(ポイント①)
というのも、最初に通ったAクリニックのHPを確認すると休院しているとのことだった為です。
HPには、間もなく再開するとの案内が記載されていましたが、何度電話をしても繋がらなかったため郵便で初診証明(受診状況等証明書)の依頼文をその経緯とともに送付しました。
この時点でAクリニックからの回答が無いことを想定して、別のアプローチでも準備を行うことにしました。
それは障害年金は初診日主義とも言われ、初診日の証明が障害年金の受給を決めると言っても過言では無いからです。(ポイント②)
ご本人様からは何も証拠は残っていないとお伺いしていましたが、もう一度調査をして頂きました。
例えば、日記帳の中に、たまたま領収書が挟まっていて認められたといったケースもあるからです。
また、他のヒントを得るためにAクリニックへ通院を開始した頃の様子を深くヒアリングさせて頂きました。
その中で、「通院すると同時に会社を休職した」というエピソードから傷病手当金を受給していたことが分かりました。
すぐに健康保険協会へ連絡を行い傷病手当金を申請した際に提出した診断書控えの手続きを行いました。
手元に届いた書類を確認すると病名は「うつ病」となっていたため、十分に初診の証明に使えると判断出来ました。
ただし、傷病手当金の診断書からは詳細な当時の様子を読み取ることはできません。
そこで、病歴就労状況等申立書をつかって体調の悪くなった経緯や当時の様子などの、当時の背景についてを審査担当者へ伝えるように手配を行いました。
また、現在の症状を記載する診断書にも、上記で判明した初診日とリンクするように記載を頂くことができました。
結果、障害厚生年金2級として認定されました。
【ポイント1】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
その他の精神の事例
精神の障害の新着事例
よく読まれる精神の障害の事例