目次
対象者の基本データ
病名 | 双極性障害(そうきょくせいしょうがい) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約130万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談さまは複雑な家庭環境に育ち、日常的に強いストレスを抱えていたそうです。
対人関係も上手く構築することができず、社会人になってからも職場に馴染めず、ストレスから過食となりました。
その後も気分が落ち込むたびに過食をするようになり、過食が慢性化してきたことから23歳の時に心療内科を受診したそうです。
『摂食障害』として抗うつ薬等による薬物治療を開始しましたが、過食が改善されなかったことで通院を自己中断してしまったそうです。
その後も不安になる度に過食を行い、そのうち過食の罪悪感から嘔吐をするようになったとの事です。
摂食障害が悪化するとともに精神的に不安定となることも増え、28歳頃より再び医療機関を受診したところ摂食障害に加えて『双極性感情障害』と診断されました。
これまで何とか仕事を続けてきましたが、それにも限界を感じ職場を退職し、療養に専念することになりました。
しかし仕事を辞めたことで焦燥感や不安などは高まり、さらに自分を責めるようになり
ついには自殺未遂を図って入院加療となりました。
現在は退院し自宅へ戻っていますが、依然として危険な状態が続いており、少しでも不安感が取り除ければと考えたご主人より当事務所にご相談がありました。
申請結果
申請では、さまざまな基準となる初診日を確定することから開始しました。(ポイント①)
今回は当初は摂食障害と診断され、後に双極性障害へ変更されていますが、障害年金上、初診日は基本的に『病名ごと』に決まる訳では無く『その症状』に着目して初診日が決まります。
つまり今の病気と関連していると思われる症状で、先に医療機関を受診していた場合、たとえ異なる病名であっても先に受診した日が初診日となります。(ポイント②)
今回のケースを症状だけでみると、当初から気分の落ち込みがあり、また治療でも「抗うつ薬」を処方されていたことから、現在の『双極性障害』と先の『摂食障害』には関連があると判断できます。
よって摂食障害にて初めて受診した日の初診証明書を取得。
初診証明書には双極性障害と関連があるとわかるよう、カルテに記載された当時の症状や処方内容もしっかり明記して頂きました。
また診断書だけでは把握できない『通院していなかった期間』については、病歴就労状況等申立書にて症状があったこと・症状による就労や生活への支障を記載し、これまでの経緯を明らかにしました。(ポイント③)
さらに家族から受けている援助内容や福祉支援の状況を別紙に記載し、参考資料として申請書類に添付し提出しました。
審査では初診日に疑義が生じることも無く、生活への支障・制限が認められたことで『障害厚生年金2級』と認定されました。
【ポイント1】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】前駆症状と初診日
病気が起こる前触れとなる症状のこと『前駆症状』と言います。
(例)体がだるい(前駆症状)ため風邪かと思い内科を受診したところ『うつ病』と診断され。その後に内科からメンタルクリニックに転医してうつ病の治療を行った。
このような場合は『内科』を初めて受診した日が初診日となります。
一見、初診日とは関係ないように感じる症状であっても、前駆症状に含まれる場合があります。
もし初診日がいつか判断できないようでしたら、ぜひ専門家にご相談ください。
【ポイント3】通院期間のブランク
長期に渡って、疾患を患っている場合、通院期間にブランクがある方もいらっしゃると思います。
『通院出来ていなかった期間はなぜ通院出来ていなかったのか?』
病状が回復していた、症状はあったが自己判断で中断してしまった、何度も受診しようと試みたけど外出困難で家から出ることが出来なかったなど、この通院出来ていなかった期間の長さや理由によっては、初診日が変更となる可能性があります。
通院経過も審査では見られますので、判断に困った場合はぜひ一度ご相談ください。
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