目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
ご依頼者様は法律を扱うお仕事でとても活躍されていました。
毎日、忙しく働かれる中で仕事中に意識を失う事があったといいます。
疲労で眠ってしまったのだと思っていましたが次第に不安感や希死念慮が現れたため、27歳頃にA神経科を受診されました。
A神経科ではスグにうつ病と診断をされ、治療を始めました。
医師からは、お仕事のストレスなどによる影響が大きいと言われ3ヶ月程の自宅療養を行いました。
復職後は一旦は症状が落ち着いたかにみえましたが、緩やかに悪化していき、その影響はお仕事にも支障が出ていたといいます。
大切な打合せ途中に居眠りをしてしまったり、遅刻で怒られるという事が頻繁にあり、そのような状況に耐えられなくなり35歳の頃に退職となりました。
それ以降、約10年間のあいだに、転院・入院治療なども行ってきましたが症状は改善されませんでした。
生活は一人暮らしですが、炊事、掃除、洗濯など何も行う事ができずご両親が頻繁に訪れて介助をされている状況でした。
それでも社会復帰がしたいとデイケアへの通所を試みますが、体調が整わず通うことが出来ない事が多いとのことです。
障害年金についても、自分で手続きをしようと準備をはじめましたが、ズルズルと先延ばしにしてしまい、その事自体も「自分はダメだ」と感じて体調を崩す事があったといいます。
とはいえ、自力での手続きは出来る状況ではないと感じ、当事務所に相談となりました。
申請結果
ご依頼者様の場合、大きなポイントは以下の2点になると考えました。
①初診から15年が経過していること
②一人暮らしをしていること
まず①については、障害年金の手続きの第一歩は初診の証明(受診状況等証明書)となります。(ポイント①)
法律ではその病院への最後の通院から5年が経過するとカルテを破棄しても良い事になっています。
そのような理由で証明が出来ず、本来なら受けることが出来るのに悔し思いをされている方が多くおられます。
今回のケースでは、病院へ確認をおこなったところ、倉庫の奥にカルテが残っていることが分かりました。
それまで、カルテが見つからない事も想定していたため、その連絡を頂いた瞬間は電話越しに静かにガッツポーズが出ていました。
つぎに『②一人暮らしをしている』という点です。
精神疾患で単身生活の場合は審査の段階で『一人暮らしが出来ているということは大したこと無い』と判断されるケースがある為です。(ポイント②)
ご依頼者様の状態を見てみると本来であれば入院しても、おかしくない程の症状でした。
ただ、家庭の事情からどうしても一人暮らしをしなければならない理由があり、また頻繁に両親が通う事によって何とか生活が出来ている状況でした。
そこで、このような一人暮らしに至っている背景やどのように日常生活を送っているのかを診断書や病歴就労状況等申立書に織り込むことで、診断書だけでは見えずらいご依頼者様の背景を伝えれるように書類の準備を行いました。
その結果、障害基礎年金2級として認定を得ることができました。
【ポイント1】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
【ポイント2】『単身』で生活している場合(精神の障害)
精神の障害では、生活での支障が審査に大きく影響します。
認定される方の多くは、生活に大きな支障があるため周囲の支援や援助が必要な事が多く、単身で生活することが困難なケースが殆どとされています。
このような経緯から、一人暮らしをしている場合『自立した生活を送れている』と評価される可能性があります。
しかし単身生活であっても、家族等以外(ヘルパー等の生活支援)や日常生活が成り立っていない状況の場合は申請内容に反映することで認定の確立を上げることができます。
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