【事例285】両特発性大腿骨頭壊死(人工関節)|障害厚生年金3級

両特発性大腿骨頭壊死(人工関節)|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 両特発性大腿骨頭壊死(人工関節)
性別 男性
支給額 年額 約58万円
障害の状態
  • 両人工股関節
  • 手術後は事務職を行っている
  • 杖を使用
  • 身体障害者手帳:なし
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

40歳の頃より股関節に痛みがありました。

重労働を伴う仕事だったため、歳のせいかと感じていました。

痛みが出てから3ヶ月程したある日、突然の激痛により仕事中に動けなくなったといいます。

すぐに同僚に病院まで連れて行ってもらったところ、両足の大腿骨頭壊死と診断をされました。

治療法は手術しかありませんでしたが、順番待ちが多く1ヶ月の間はお仕事を休んで出来るだけ足に負担の掛からないように生活をされていたとのことです。

また、この間に手術後も見据えて家での生活スタイルも大きく変えられました。

例えば、床に寝ていたのをベッドに変え、トイレも和式から洋式へ変更したなどです。

人工関節への手術後は順調に回復し、通常の日常生活は杖は必要ですが、ほぼこなせるようになりました。

ただ、重たいものを持ち上げたり、股関節に不可のかかる仕事は禁止されているため、会社からの配慮で負担の少ない部署へ配置転換をしてもらいました。

そんな中、インターネットで障害年金を知り、ご相談にこられました。

 

申請結果

大腿骨頭壊死の場合に最初に確認するのが過去にステロイド治療を行ったことが無いかという点です。

というのも障害年金上はステロイド治療と大腿骨頭壊死の間には相当因果関係(ポイント①)があるとされています。

つまり、もし発症前にステロイド治療がある場合はその時が初診日になる為、ここを誤ってしまうと全てやり直しという事もあり得てしまうのです。

結果、そのような事は無いとのことでしたので同僚に連れられ、初めて通院した日を初診日と確定しました。

また、ご相談を頂いた時点では既に人工関節の手術をされた後でした。

障害年金は通常は初診日から1年6ヶ月後からしか申請ができませんが、人工関節の場合は手術以後であればいつでも請求することが出来ます。(ポイント②)

そこで、委任状を頂きスグに必要な診断書などを取り寄せて手続きを行いました。

結果、予定通り障害厚生年金3級として認定を受けることが出来ました。

 

【ポイント1】 相当因果関係について

「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。

つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。

例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。

  • 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
  • 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
  • 肝炎→肝硬変
  • 結核の化学療法による副作用として聴力障害
  • ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
  • 事故または脳血管疾患→精神障害

他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。

 

【ポイント2】人工関節はいつから請求できる?

原則的には障害年金は初診日から1年6ヶ月経過後に障害年金が請求できる様になります。

しかし、人工関節は障害認定日の特例が認められています。

初診日から1年6ヶ月以内に手術を行った場合はその日以降であれば障害年金の請求が可能となります。

また、障害年金を貰えたのを知らずに長年来た場合であっても、この特例に該当する場合であればもらい忘れていた障害年金を最大5年分まで遡って受給出来る可能性があります。

 

【ポイント3】人工関節は原則3級

人工関節は「原則3級」と決められています。

ただし、症状によって上位等級(2級以上)に認定される可能性もあります。

また3級に該当するためには初診日に厚生年金や共済年金に加入していることが条件となります。

つまり、初診日が国民年金・20歳未満・第3号といった障害基礎年金が対象の場合は人工関節の手術のみでは障害年金の受給は出来ないというものになります。

 

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