目次
対象者の基本データ
病名 | 慢性腎不全(まんせいじんふぜん) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約111万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
障害年金を申請は、年金事務所等で申請用紙一式を取得することから始まります。
ご相談者様は日中就労していることもあり、年金事務所に来所する時間が取れず、また疲労感から休日は横になって過ごしているため、申請代行を希望されました。
人工透析は、透析そのものが生活や就労に支障・制限があるため、たとえ就労しているケースでもあっても、原則『2級』となります。(ポイント①)
また本来であれば請求できるのは、初診日から1年6ヵ月後となっていますが、透析の場合は『透析を開始した日から3ヵ月後』より請求することが出来るため、ご相談頂いた直後より申請手続きに着手しました。(ポイント②)
お話によると、当初は『健康診断』で高血圧等の異常を指摘されたとの事でしたが、障害年金では健診は初診日に含まないため、後日に受診した病院にて初診日の証明書(受診状況等証明書)を取得。(ポイント③)
取得した受診状況等証明書には、腎不全の記述は無く『高血圧、高脂血症、顔面神経麻痺』等のみが記されていましたが、前駆症状にて病院を受診した場合も初診日に含まれるため、修正すること無く提出しました。
ただし、申立書には上記の症状は『初診時の症状が病気が起こる前ぶれであった』として、前駆症状であることが見て取れるよう、しっかりと記載を行いました。
申請お手続きはスムーズに完了し、結果は予定通り『障害厚生年金2級』と認定されました。
申請結果
この事例は糖尿病を原因とする慢性腎不全(人工透析)ということでした。
2つの病気の間には相当因果関係(ポイント①)が認められ、糖尿病で初めて病院を受けた日が初診日となります。
つまり、今回のケースでは43歳ころに受診した眼科が初診日ということになります。(ポイント②)
糖尿病という病気は、発症から慢性腎不全や人工透析に至るまでに長い期間がかかるという事がよくあります。
その場合、症状が悪くなったときには既にカルテが破棄されていたり、病院が無くなっているなどの理由で初診日の証明が出来ず、泣く泣く諦めるという方が多いというのもこの病気の特徴です。
今回も発病から既に10年以上が経過していた為、この初診日の証明こそが一番重要になると考えました。
調べてみると最初の眼科のA総合病院には他の診療科に定期的に通っていることもありカルテが残っているのが分かりました。
すぐに、初診の証明書(受診状況等証明書)を取得し、B病院から取得した診断書と合わせて提出を行いました。
その結果、無事に障害厚生年金2級として認定を受けることが出来ました。
【ポイント1】人工透析は働いても受給可能
人工透析の等級は、原則『2級』と定められています。(※)症状によってはさらに上位等級の可能性もあり。
仕事が出来ていると「障害年金の受給は無理かな?」を思いがちですが、人工透析を実施していることで就労や生活に制限が出てきます。
そのため、人工透析の場合は「就労の有無・生活への支障」などに関わらず、2級と認定されます。
【ポイント2】人工透析による障害認定日の特例
障害認定日とは、その日以降であれば障害年金の請求が出来るようになるという基準の日のことをいいます。
原則としては初診日から1年6月後を障害認定日とされていますが、人工透析ではこれが早まるケースがあります。
これを障害認定日の特例といいます。
初診日から1年6月以内に人工透析を開始した場合、人工透析を開始した日から3ヶ月が経過した日と原則の1年6ヶ月を比べて、いずれか早い方が障害認定日とされます。
従って、初診日から1年6ケ月以内に人工透析を開始した場合1年6ケ月を待たなくても、障害年金の請求が出来る可能性があります。
【ポイント3】健康診断日は初診日となる?
障害年金では、原則として『治療目的で初めて医療機関を受診した日』の事を初診日と言います。
つまり『検査』を目的とした健康診断の日は、原則初診日とは認定されません。
そのため健康診断で異常が判明した場合は、その後に病院を受診した日が初診日となります。
【※】H27年10月1日以前は『健康診断日=初診日』と取り扱われていましたが、
H27年10月1日以降は規定が改正され、上記のような取り扱いとなっています。
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