目次
対象者の基本データ
病名 | 統合失調症(とうごうしっちょうしょう) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約123万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
25歳の頃より不安感や過度な心配により徐々にうつ状態を発症されました。
徐々に一日中、体調が優れない日が多くなり男性の声のような幻聴が聞こえる事もあったと言います。
当時は子どもが小さかった事もあり、育児ノイローゼと自分に言い聞かせて長らく通院をせずに耐えておられました。
30歳を超えた頃から、常に幻聴が聞こえるようになり、現実なのか幻聴なのかの区別がつかず日常生活に支障をきたしていたといいます。
そこでご主人さまに初めて相談をしたところ、すぐに通院するよう促され初診となりました。
最初に通ったA医院は途中で閉院となったため、転院して現在はBメンタルクリニックへ通院をされていました。
月に2回ペースで通院を行っていましたが、体調の悪い時は家から出ることが出来ず長らく通院の出来ない期間もあったといいます。
webで統合失調症の方の口コミなどを調べている時に障害年金というキーワードを初めて知り、当事務所へ相談にこられました。
申請結果
着手前のヒアリングの段階でA医院が既に閉院しているという事が分かっていたため、今回は初診の証明(受診状況等証明書)がポイントとなると考えていました。(ポイント①)
まず考えたのが、A心療内科からBメンタルクリニックに向けて、紹介状が発行されていないかという事です。
ただすぐに、紹介状は無しで自分で探してBメンタルクリニックへ通院したという事が分かりました。
その他に、お薬手帳や診察券なども探しましたが残っていませんでした。
そこで、健康保険より確認を行ったところ、「レセプト」という保険の手続きに使用される書類が残っている事がわかり取り寄せを行いました。
このレセプトを元に初診日を主張することにしましたがこれだけでは不十分でした。
というのも、これだけではA医院へ通ったのが統合失調症によるものなのかが分からないからです。
考え方として「A医院に風邪で通ったのなら初診ではないよね」と言われる余地があるわけです。
そこで、廃院した病院の情報を調べ、A医院が心療内科であったことを突き止めました。
ここまでの情報が揃うことで「○年○月○日にA医院にはメンタルの治療で通った」というのが証明できたわけです。
また、ご本人様は現在の病院に対して、通院の限られた時間の中だけでは、症状を伝え切れていない事を心配されていました。
そこで、オリジナルのアンケートを使って家事や家での過ごし方などを先生に参考資料として提供させて頂きました。
これは、障害年金だけでなく今後の治療にも役立ったと、ご本人と先生の双方から喜んで頂けました。
その結果、障害基礎年金2級として認定を得ることが出来ました。
【ポイント1】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
【ポイント2】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
【ポイント3】統合失調症の特性にも注意
統合失調症には「病識欠如」といった特性があります。
自身が病気であるという認識が乏しい場合、症状や状況を正確に伝えることが難しくなってしまいます。
そのため障害年金の申請には、ご家族や職場といった周囲の支援が必要です。
統合失調症にて障害年金の申請を検討されている場合は、身近な方が窓口となることでよりスムーズに申請できる可能性があります。
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