目次
対象者の基本データ
病名 | 高次脳機能障害 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
16歳の時、高校から下校中にスクーター車に追突事故を起こされました。
すぐに救急搬送され治療を受けましたが、急性硬膜下血腫・頭蓋底骨折・頭蓋骨骨折・顔面挫創・歯牙損傷・肺挫傷・高次脳機能障害と診断されました。
約1ヶ月の入院生活の後、自宅へ戻られましたが、高次脳機能障害の影響により日常生活上で出来ないことが多く家族の助けがなければ何も出来ない状態でした。
例えば、数分前に伝えたことを丸々忘れたり、よく物にぶつかる、ちょっとしたことで怒鳴るなど、事故前と比べて別人のような性格に見えたということでした。
その後も、脳外傷後高次脳機能障害としてリハビリに通いましたが大幅な改善は見られませんでした。
ご本人が高校を卒業したタイミングで、お母様より障害年金のご相談を頂きました。
ただ、障害年金は原則としては20歳以上で受給が出来る制度となるため、あと2年ほど待機をお願いしておりました。
そして20歳の少し前に改めてご連絡を頂き障害年金にチャレンジを行うこととなりました。
申請結果
高次脳機能障害と一言で言っても症状は人それぞれで大きく異なります。
例えば失語症・記憶障害・感情の障害・失認症・注意障害・地誌的障害・遂行機能障害・失行症などです。
高次脳機能障害で厄介なのが、これらの症状が発症していたとしても、その障がいから症状を医師に伝えることが出来ない可能性があるという事です。
そうなると、出来上がる診断書は必然的に軽くなり、本来であれば受けられる障害年金が受けられないというケースが出てしまうこともあります。
そこで、今回は日常生活の様子について、ご家族からのどのようなサポートを受けているのかを専用のアンケートを使って入念にヒアリングをしていきました。
そしてこのヒアリング結果を用いて、資料作成と合わせて医師への橋渡しを行いました。
また、請求時点では家から近くの工場でフルタイム勤務をされていました。
周囲から手厚いサポートを受けての就労でしたが、精神の分野での審査では、労働能力によるウエイトが年々大きい傾向があると感じられ、就労をもって不支給とされる可能性もありました。
そこで、仕事の内容や周りから受けているサポートについてを病歴就労状況等申立書にて具体的に説明することで、診断書だけでは伝わりきらない、障がいによる支障の背景を審査担当へ伝える工夫を行いました。
その結果、障害基礎年金2級として認定を受けることができました。
【ポイント1】医師への伝達(高次脳機能障害)
実態を反映した診断書を取得するには、高次脳機能障害による症状や生活での支障等を医師にしっかりと伝えることが大切です。
高次脳機能障害による失語症(考えたことが上手く伝えられない)や病識欠如(自分に障害があることを上手く理解できない)などがある場合は、ご家族が診察に同行して代わりに伝えたり、メモなどにまとめて医師に渡す等の方法がおススメです。
【ポイント2】 高次脳機能障害の診断書を記載する医師
障害年金の請求上、高次脳機能障害は精神に区分されます。
しかし、高次脳機能障害による診断書を記載するのは精神科でなければならない訳ではなく、脳外科、小児科、神経内科、リハビリテーション科、脳神経外科の先生に記載頂いたものでも可能です。
【ポイント3】 高次脳機能障害として失語があるケース
高次脳機能障害による障がいとして聞く、話す、読む、書くといった症状が現れる事があります。
これを失語の障がいといいます。
失語の障がいは言語機能の認定基準により認定されることとなり併合認定という取り扱いとなります。
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