【事例256】多発性硬化症|障害厚生年金2級(難病の事例)

多発性硬化症|障害厚生年金2級

対象者の基本データ

病名 多発性硬化症
性別 女性
支給額 年額 約126万円
障害の状態
  • 肢体全体に運動障害・感覚鈍麻、平衡機能障害、排尿障害、倦怠感がある
  • 生活には一部家族の介助を要する
  • 障がい者枠にて就労
  • 身体障がい者手帳3級
申請結果 障害厚生年金2級

 

ご相談までの経緯

約10年前に急に歩行時に足が上がりづらい、脱力感がある等の症状を感じるようになったそうです。

症状は継続しましたが生活に大きな支障も無かった為、通院せずにいたところ、約1年程で軽快したとの事でした。

それから1年経過した頃に、再び前回同様の症状を発症。

さすがに異変に思い、近医の整形外科を受診。

検査結果では異常は無いものの、下肢の筋力低下が認められたそうです。

その後も症状は改善する事なく、しびれ等を出現し、歩行時には足を引きずるようになったとの事でした。

原因追及のため病院を転々としましたが、いずれも原因不明で確定診断を得ることはできませんでした。

発症から約8年後の50歳の時、総合病院の神経科にて『多発性硬化症の疑いがある』と言われ、専門病院の紹介を受けました。

専門病院にて検査を実施したところ『多発性硬化症』と確定診断。

ようやく原因が判明したものの、進行性の病気であり有効な治療法も確立されていない指定難病との事でした。

症状増悪のため転職も余儀なくされ、今の仕事もいつまで続けられるか分からず、将来に対する不安が高まり、当事務所にご相談がありました。

 

申請結果

難病指定の多発性硬化症(MS)は、確定診断までに病院を転々としている方も多く、そのために障害年金の申請も複雑となります。

また寛解と再発を繰り返す特徴があり『いつから発症していたか』特定することが難しい病気でもあります。(ポイント①)

ご相談者さまのケースも、10軒以上の病院を渡り歩いておられ、発症時期も曖昧であったことから、まずはヒアリングを重ねて病歴の整理を行いました。

ヒアリングを元に初診病院にて受診状況等証明書の作成を依頼。

作成依頼時には現在の障害状態がわかる資料を用意し『当時の症状が多発性硬化症の初期症状であったか』を確認したうえ、証明書には『当時から症状を発症していたこと』が明確にわかるよう、確認内容を反映いただきました。

続いて診断書を作成する段階では、具体的な症状、生活での支障、就労時の様子や会社からの配慮をまとめ、作成時の参考資料として医師にお渡ししました。(ポイント②)

これにより、出来上がった診断書の生活での支障を記載する『日常生活の動作』には、お渡しした資料の内容がしっかりと反映されました。

最後に病歴就労状況等申立書では、各々の病院にて行った治療や当時の症状・状況等を経過が見て取れるように記入し作成。

さらに就労が「労働可」と評価される懸念があったため、職場での配慮や業務内容、出勤状況等を明らかにし、就労に制限・支障があることを証拠資料とともに主張しました。(ポイント③)

申請内容が複雑で課題も多かった分、申請期間が4ヶ月と通常よりも長い期間を要しましたが、結果は『障害厚生年金2級』と無事に認定されました。

 

【ポイント1】難病の初診日特定

障害年金上『病気で初めて医師等の診察を受けた日』を初診日としています。

しかし原因不明の難病等では、確定診断を得るまでに病院を転々としているケースも多く、通院歴が複雑であることから初診日の特定が大変困難となります。

よって、最初にこれまでの病歴を整理して『初診日』を特定させることが大切となります。

 

【ポイント2】 医師への説明

医師に、ご自身のつらい症状を上手に話せなかったり、努めて明るく振舞おうとしたりして、実際の状態を診断書に反映していただけない場合があります。

口頭での説明が難しい場合は、日常生活の状況についてのメモを持参するなどして、医師に伝えることも大切です。

 

【ポイント3】就労と障害年金

就労(就労移行支援等も含む)している場合は仕事上で問題があっても、労働能力ありと評価されて不支給となってしまうことがあります。

そこで就労に制限がある際は「就労時の状況などを詳しく伝える」ことが大切となります。

周囲からの支援や免除されている業務がある場合は、診断書や病歴就労状況等申立書にしっかりと反映しましょう。

 

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