目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約169万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
幼少期の頃から、落ち着きが無い・不注意が多いなどの指摘を受けることがありました。
また周囲とのコミュニケーションが上手く図れず、学校生活に馴染むことが出来ないため引きこもりがちだったそうです。
大学卒業後、一般企業に就職しましたが、やはり周囲に馴染むことが出来なかったり、うっかりミスが多いことで叱責を受けることも多くあったとの事でした。
40歳頃、会社の業績が傾き早期退職の募集が開始されてから上司のパワハラが始まり、これまで抱えていたストレスが一気に噴出。
精神的に追い込まれ、腹痛・食欲低下・不眠・抑うつ気分が出現。
出社困難となり、家族の勧めでメンタルクリニックを受診したところ『うつ病』が判明したそうです。
また主治医から発達障害の可能性を指摘され、検査を実施したところ『注意欠陥多動性障害』との診断を受けました。
現在は社会復帰に向け就労移行支援に通っていますが、発達障害特有の強いこだわり・集中困難・衝動的な行動やうつ病による対人不安・意欲低下などにより苦しい状況が続いていました。
「早く再就職を」と、焦ってしまい、症状は悪化する一方でした。
そんな姿を見た就労移行支援のスタッフが障害年金の存在を教えて貰い、受給することで療養に専念できればと当事務所にご相談がありました。
申請結果
ご相談者さまは『うつ病』と『ADHD』の複数のメンタル疾患がありますが、障害年金ではうつ病など症状はもともとあった発達障害が原因で起こっているとして、同一の障害として取り扱われます。(ポイント①)
お手続きでは、この点に注意しながら進めていきました。
まず初診日ですが、うつ病・ADHDそれぞれの初診日を特定するのではなく、『最初にうつ病にて初めて病院をした日』が初診日となるため、該当病院にて初診日の証明書を取得しました。
次に診断書についても、病気ごとに取得するのではなく、1枚の診断書に各々の症状を記載して貰うこととなります。
ここで注意するのが、ご自身ではどれがうつ病の症状でどれが発達障害の症状なのか判らず、医師に正確な症状や支障を伝えきれていないことがよくあるという点です。
認定はうつ病とADHDの症状を総合的に考慮して審査されるため、いずれか一方の症状のみに偏ることなく、それぞれの病気の症状・支障等を診断書に反映していくことが大切です。(ポイント②)
ご相談者さまの場合も、普段の診察ではうつ病の症状をメインに伝えているとのことでしたので、ヒアリングしっかり行い『うつ病』と『ADHD』の症状・支障を分けて文書にしてまとめ、診断書作成の参考として医師にお渡ししました。
最後に申立書ですが、本来、申立書は発症から現在までの様子を記入しますが、先天性疾患の場合は『出生から現在まで』を記入していく必要があります。
ADHDは一般的に先天性疾患とされていることから、今回は『出生から現在まで』の様子を記入する必要がありました。(ポイント③)
出生からとなると相当な期間があるため、ヒアリングには少し時間を要しましたが、現在までの様子が鮮明に伝わる内容にて申請を行う事ができました。
審査の結果、それぞれの疾患が適切に評価され『障害厚生年金2級』の認定を得ることが出来ました。
【ポイント1】同一傷病として取り扱われる精神疾患
障害年金では、2つ以上の精神疾患が併発していても同一の傷病として取り扱われるケースがあります。
同一傷病と取り扱われる場合の初診日は『先の精神疾患にて初めて病院を受診した日』が初診日となります。
同一疾患と取り扱うケース
- 発達障害⇒「うつ病」
- うつ病⇒「発達障害」
- 統合失調症⇒「発達障害」
- 知的障害⇒「発達障害」※3級非該当程度の知的障害は含まない
- 知的障害⇒「うつ病」
【ポイント2】複数の精神疾患が発症している場合
複数の精神疾患がある場合は、それぞれの病気で評価(併合認定)はされず、複数の病気全体での症状や障害状態をひとつの障害として、まとめて認定されることになります。
これを総合的認定といいます。
【ポイント3】発達障害の病歴就労状況申立書
発達障害は、先天的な脳機能の障害とされています。
幼少期から症状が現れるのことも多いですが、近年は大人になってから発覚するケースも増えています。
いずれの場合であっても、病歴就労状況申立書には『生まれてから現在まで』の病歴・通院歴・症状・日常生活の様子などを記入する必要があります。
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