目次
対象者の基本データ
病名 | 癲癇(てんかん) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約98万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金1級 |
当事務所スタッフによる事例紹介動画
当事務所の松木が実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。
当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
平成20年に、突然、意識消失で転倒されて救急搬送されました。
当時は、原因不明で、てんかんと診断されることもなく数回の通院で受診を中断されました。
その後は、頭痛や倦怠感はあるものの市販薬を服用しながらすごされていましたが、2年後に、再び、意識消失で転倒する大きな発作が起こり救急搬送されることになりました。
検査の結果、てんかんと診断され薬物療法が始まりました。
しかし、倦怠感に加え、毎月2回ほど意識を失い転倒する大きな発作が続いています。
いつ発作が起こるかわからないため、常に、見守りが必要であり、一人での行動は大きく制限されます。
このような状況で、まず、障害者手帳の申請をされました。その際、障害年金の事を聞き、ご自身で請求準備を始められました。
しかし、思った以上に手続きが煩雑で専門家への依頼を決断されました。
ネットで自宅付近の社労士事務所を検索され、障害年金の取扱件数の多い当事務所にご夫婦でご相談に来られました。
申請結果
まず、ご相談者様に発作のタイプと発作の起こる頻度および今までの受診歴をお尋ねしました。
ご相談者様の発作は、タイプB(意識障害の有無を問わず、転倒する発作)で、毎月1回以上あります。
病状からは1級に該当する可能性が高いと考え、請求準備に着手しました。
まず、初診の病院に「受診状況等証明書」(初診日を証明する書類)を依頼しましたが、カルテを破棄したため断られました。
そこで、2番目の病院で「受診状況等証明書」を書いて頂きました。
また、初診の病院からの「診療情報提供書」も入手ができました。
申請の際は、初診日の証明として「受診状況等証明書が添付できない申立書」に2番目の病院から頂いた「受診状況等証明書」と「診療情報提供書」を添付して提出することになります。
次に、診断書です。
ご相談者様は、障害認定日頃は受診されていませんでしたので、事後重症請求となります。
必要な診断書は現在の病院に記載して頂く1枚のみです。
てんかんの場合は「精神の診断書」を使います。
そのため発作のタイプ、頻度はもちろん重要ですが、日常生活能力の判定と程度もポイントとなります。
てんかんの場合、発作間欠期は、外見的には日常生活に支障は見受けられません。
しかし、発作に備えて常に「見守り」が必要で単独行動に支障があることや発作時の状況も加味して記載をお願いすることになります。
医師には、診断書依頼時にこの点をしっかり説明させて頂きました。
完成した診断書には、発作のタイプ、頻度とともに日常生活能力の判定や程度も、予めご説明した内容をふまえ、ご相談者様の状態が正確に反映されたものとなっており、自信をもって申請することができました。
結果は、当初の予想通り『障害基礎年金1級』に認定となりました。
【ポイント1】 初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、「受診状況等証明書が添付出来ない申立書」です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】癲癇(てんかん)の注意点
てんかんで障害年金を申請する際には「精神の診断書」を使用します。
その中でも、認定の基準として重要となるのが以下のポイントとなります。
①発作の重症度と頻度
②日常生活能力の判定
病気の特徴として、発作の起きない期間(発作間欠期)は、日常生活は問題なく見えます。
例えば、食事を作ったり、お風呂に入ったり、散歩をすることも出来るのです。
その部分だけを切り取って診断書の日常能力を「できる」と評価されてしまうと「発作はあるけど生活には問題がないんだね」と不支給とされるケースがあるのです。
それを防ぐためにも、発作の無い期間であっても、いつ発作が起きるか分からない事から、どのような影響があるのかを、しっかりとわかるように申請を行う事が大切となります。
【ポイント3】 障害年金の対象外の癲癇(てんかん)
てんかんのうち、障害年金の対象となるのは「難治性てんかん」と言われるものです。
つまり、抗てんかん薬の服用や、外科的治療でてんかん発作が抑制される場合は、原則として障害年金の認定の対象外となります。
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