目次
対象者の基本データ
病名 | 鬱病(うつびょう) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
高校卒業後、製造業で勤務しており、22歳頃に具合が悪くなり、動悸・嘔吐などが出現するようになったそうです。
食欲も低下し、不眠となり、身体の倦怠感がとれず動けない日が増え、退職後にA病院へ通院を始めました。
躁うつ病と診断を受け、通院・治療を続けるも症状は一進一退で、体調に左右され、仕事も転々としていました。
そんな中、突然A病院の運営主体が変わり、病院名称がB病院に変更され、引き続いてB病院で治療を受けることとなりました。
治療方針は大きく変わることはなかったものの、医師が変わったことで病名もうつ病へ変更となり、症状に波があるものの大きな改善はなく、20年以上通院を継続していました。
仕事は週3日制限付きで何とか出勤できている状況がしばらくは続いていましたが、半年前に状態が悪化し、働ける状態になくなり現在まで休職していました。
現状、仕事に復帰出来る状態になく、今後の生活に不安を抱えていたところ障害年金が受給できる可能性があればと思い、当事務所にご相談をいただきました。
申請結果
今回の申請は初診日がポイントとなりました。
初診から現在まで同じ病院に継続して通院しているという認識でしたが、手続きを進めていく中で現在のB病院の前身となるA病院の存在が分かりました。
B病院に問い合わせ、A病院の受診歴など何か分かるものがないか探してもらいましたが、A病院の診療録や記録などは引継ぎがされておらず、病院からは初診の証明となるものを取得することは出来ませんでした。
またA病院の初診日は今から30年程前のことで、Yさんの手元にもA病院へ通院していた証拠となる書類等は全く残していない状態でした。
ここで初診日が大切な理由を改めて考えました。(ポイント①)
初診日は障害年金を請求する上で様々な基準となる日です。
今回はそのうちの制度加入要件と保険料納付要件に注目し、遡っての請求は望まずとも今後の年金だけでも請求できないか検討しました。
A病院の初診日と考えられる頃のYさんの制度加入状況はしばらく国民年金に加入しており、制度の入れ替わりは全く有りませんでした。
また国民年金に加入している間の保険料納付状況も毎月定期納付されており、現在までも未納期間は全くありませんでした。
この、ある一定期間に初診日があるということが誰が見ても確認出来るのであれば、初診日の要件はクリアできると考えました。
ある程度初診日の時期を絞るため、手帳を発行した役所や健康保険のレセプトなど思いつく限りの公的機関にあたり、初診日の時期がおおよそ推定できる客観的証拠を集めました。
また何でもいいから何かA病院に行っていたことの分かるものがないか再度ご確認いただいたところ、お母様が毎日つけていた日記が残っており、証拠の1つとしてコピーをご用意いただきました。
初診日を具体的に特定出来なくても、ある程度初診日の時期を客観的に推定できる書類があり、推定される初診日頃の加入制度が明らかに確認でき、保険料納付要件が満たせており、かつ、現在の状態が基準に該当するのであれば今後の年金だけでも認められるべきであると申立て申請を行いました。
申請の結果、申立て通り、今後の年金の支給が認められました。
【ポイント1】初診日が大切な理由
障害年金では、初診日が最も重要とされています。
なぜ重要なのかというと、初診日は以下のように様々な『基準』となる為です。
①制度加入要件
初診日にどの制度に加入していたかで、受けられる年金が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を申請するには、初診日の前日から数えて一定期間の保険料を納めている必要があります。
③障害認定日の起算点
原則として『初診日から1年6ヵ月経過した日』に障害の程度を認定します。
これを障害認定日と言い、この日以降で無ければ障害年金の請求が出来ません。
初診日が大切な理由に関しては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】初診日の証明
障害年金は初診日主義とも言われています。
つまり、障がいがどんなに重たくても初診日の証明が出来なければ障害年金を受給することが出来ないということです。
カルテの法定保存期間が5年と定められている為、初診日の証明が出来ず悔しい思いをする方が多くおられるのも事実です。
そんな時でも証拠を積み上げて、間接的に初診日を証明出来たケースが多くありますので諦めない事が大切です!
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