【事例218】自閉スペクトラム症|障害基礎年金2級(複数の精神疾患が発症している事例)

自閉スペクトラム症|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 自閉スペクトラム症
性別 男性
支給額 年額 約78万円
障害の状態
  • こだわり強く生活全てに手順を決めており、崩れるとパニック状態となる
  • マイルールを崩さないという強迫観念に縛られ家事や身のまわりの事ができず、生活は支援無しでは成り立たない
  • 一人暮らしであるが家族が頻繁に訪れて支援しており、自立した状態と言えない
  • 療育手帳や精神障害者保健福祉手帳は持っていない
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

一才半健診の際に発語の遅れを指摘され、幼稚園ころからチック症状が出始めたそうです。

その後、強いこだわりが目立つようになり意に反する行動についてはパニックを起こすこともあり、学校生活にも支障をきたしていました。

中学に入ると「周囲に迷惑をかけたくない」との思いから徐々に完璧主義となり、強い強迫観念を持つようになったそうです。

スクールカウンセラーに相談したところ、心療内科を受診することを勧められ近くの病院を受診。

そこで初めて『自閉スペクトラム症・強迫性障害』と診断されました。

診断後はカウンセリングを受けるようになりましたが強迫観念は強くなり、こだわりも一層強くなっていったそうです。

大学入学を機に一人暮らしを開始しましたが、こだわりや強迫心から生活が立ち行かず、心配した母親が頻繁に訪れて支援していました。

大学卒業後も同様の状況が続いたため、将来を不安視した母親が福祉施設に相談して生活指導や就労支援を受けましたが、強いこだわりの為なかなかうまくいかず、悩んだ結果、お母さんとともに障害年金受給のため当事務所にご相談へ来られました。

 

申請結果

お母様のお話では、発達障害特有のこだわりが強くマイルールに縛られていて、ルールが崩れるとパニック状態になってしまうとの事でした。

実際に面談中にもパニックに陥ってしまうシーンがあった為、詳しいヒアリングは電話や文書等で時間をかけて行うことに。

また20歳のお誕生日を迎えていなかった為、今から準備をしてお誕生日を迎えると同時に申請する手順にしました。

お手続きでは症状による強いこだわりが随所にみられた為、手続きが進む都度、ご本人とお母様に確認いただき、気になる部分を修正する形で進めていきました。

強迫観念から伝えたい事が多すぎるケースでは、審査に重要となる部分を抜粋して形にしていきました。

診察時は思いついたままお話していたご様子だったため、医師が症状や生活状況を把握しきれておらず、診断書の作成では交通整理が必要となりました。

医師と密に連携を取り、作成しやすいように、ご本人さまの主張をとくに強い症状や生活での支障でまとめ、症状等を把握して頂きました。

また障害年金の対象外となる強迫性障害とも診断されていたことから、医師に確認したうえで主傷病を『自閉スペクトラム症』とし強迫性障害を副傷病と併記する形となりました。

傷病によるこだわりの強さから、ヒアリング申請には時間を要しましたが、予定通り20歳のお誕生日を迎えてすぐに申請することができ、無事に『障害基礎年金2級』の認定を得ることができました。

 

【ポイント1】複数の精神疾患が発症している場合

複数の精神疾患がある場合は、それぞれの病気で評価(併合認定)はされず、複数の病気全体での症状や障害状態をひとつの障害として、まとめて認定されることになります。

これを総合的認定といいます。

 

【ポイント2】強迫性障害などの神経症

強迫性障害、PTSD、パニック障害などを神経症と呼びます。

これらの神経症は、原則として障害年金の対象外となります。

但し、うつ病、統合失調症のような症状がある場合は、障害年金の対象となることもあります。

 

【ポイント3】精神疾患と就労

必ずしも「就労している=不支給」とは限りません。

とはいえ、精神疾患の場合は、審査上、就労の有無が重要なポイントとなってきます。

就労している継続年数や、就労形態についても審査では見られます。

就労している場合は、会社から受けている配慮や、帰宅後や休日の体調などを申し立てることも必要です。

たとえば、体調が悪化した場合の早退、通院のための遅刻や、その他、業務を行う上での配慮を受けていれば、そのあたりも記載します。

また、なんとかがんばって会社に行けても、帰宅した途端どっと疲れが出て寝込んでしまう場合や、休日は家事も一切できない場合なども、医師にしっかり伝え、診断書に反映していただくことも大切です。

 

その他の精神の事例

 

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