目次
対象者の基本データ
病名 | 右形成不全股関節症 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約83万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
当事務所スタッフによる事例紹介動画
当事務所のスタッフが実際に申請した流れを動画で詳しく説明しています。
当事務所の雰囲気を感じて頂けると思いますので、是非ご覧ください。
ご相談までの経緯
ご依頼者様は、右形成不全性股関節症により歩行困難となり、日常生活に大きな支障をきたしていました。
初診日は令和3年2月15日で、その後薬物療法による治療を続けていましたが、症状の改善が見られず、ついに人工関節の手術を受けることとなりました。
当社には障害年金の申請を検討する中で、不安を抱えて相談にいらっしゃいました。
申請のポイント
障害年金の申請において、障害認定日は重要なポイントとなります。
障害認定日とは原則、初診日から1年6ヵ月経過した日のことを言い、その障害認定日以降より障害年金の申請そのもの自体が可能とされ、障害認定日の時点で等級に該当する障害状態にあった場合は当該障害認定日の翌月まで遡って障害年金の支給が認められることとなります。
ただし、人工関節置換術が施行されている場合について、初診日から1年6ヵ月経過するよりも前に手術を受けられた場合は、1年6ヶ月を待たずとも手術を受けた日が障害認定日となる特例があります。
今回のご依頼者様の場合は、初診日が令和3年2月15日であり、原則の障害認定日は初診日から1年6ヶ月経過した日の令和4年8月15日となります。
そして、人工関節の手術を受けられたのは令和4年11月28日であり、認定日よりも後であった為、障害認定日の特例は適用されないケースでした。
そのため、障害年金の遡及請求では原則の障害認定日から3ヵ月以内(令和4年8月15日~同年11月15日)時点の障害状態により判断されることとなります。
当該障害認定日から3ヵ月以内の時点では筋力や可動域の測定がされていなかったため、原則で有効とされる診断書を取得することはできませんでした。
しかし、原則で有効とされる3ヵ月の期間の13日後には人工関節置換術を受けられていることから、有効とされる診断書がなくとも障害認定日時点の障害状態が推認され、遡及請求が認められる可能性はあるのではないかと思い、遡及請求にて申請を行うこととしました。
結果
審査途中、申請の意図はわかるけれども、提出されている診断書だけでは障害認定日時点の障害状態の推認はできないという連絡があり、結果的には遡及請求は認められず、事後重症での請求となり、申請月の翌月分から3級の障害年金支給が決定しました。
感想
障害認定日による請求(遡及請求)と事後重症請求とでは受給できる年金額・期間が異なるため、ご依頼者様の利益を最大限に考えた申請を行いました。原則と外れているからといってすぐに諦めることなく、チャレンジしたことが重要であり、ご依頼者様にとってメリットが大きい結果を追求しました。
最終的に事後重症3級の認定を受けることとなりましたが、可能性を追求する姿勢は非常に大切だと感じました。今後も、ご依頼者様の立場に立ち、最善のサポートを提供してまいります。
【ポイント1】障害認定日の特例
初診日から1年6ヶ月(障害認定日)以内に人工関節の手術を行っていると、障害年金をもらい忘れてた場合でも最大5年間の遡りを受けれる可能性があります。
今回のケースのように障害認定日以降に手術を行った時は、障害年金の請求月の翌月分からの支給となりますので、出来るだけ早く年金機構へ必要書類の提出を行うことが重要です!
【ポイント2】障害認定日の診断書が取得できない場合
障害認定日による請求を行う場合、原則、初診日から1年6月経過した日(障害認定日)時点の診断書が求められます。
しかし、これはあくまでも原則論である為、障害認定日時点の障害の程度を判断するための合理的資料が得られる場合には、障害認定日時点の診断書が取得出来なくても認定される余地があります。
障害認定日頃の診断書が取得できないからといってすぐに諦めることなく、傷病の性質や病態、考えられる症状の経過等により障害の程度を推認できないか検討する方法も有効となり得ます。
ただし、全ての傷病で診断書が取得出来なくても認められるというものではありませんので、ご注意ください。
【ポイント3】人工関節と就労
人工関節の等級は、原則3級と定められています。(※)症状によってはさらに上位等級の可能性もあり。
仕事が出来ていると「障害年金の受給は無理かな?」を思いがちですが、人工関節を挿入していることで生活や就労に制限が出てきます。
そのため、人工関節の場合は「就労の有無・生活への支障」などに関わらず、3級と認定されます。