【事例134】左脳梗塞|障害厚生年金3級

左脳梗塞|障害厚生年金3級

対象者の基本データ

病名 左脳梗塞
性別 女性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • 疼痛で軽労働以外の労働については常に支障をきたす
  • 失語症のため、電話対応ができない。
  • 身体障がい者手帳4級
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

平成30年に、自宅で突然、意識不明となったそうです。

幸い無断欠勤を不審に思った同僚の方が自宅を訪問し、転倒しているご相談者様を発見し緊急搬送となりました。

病院では保存的治療を受けられました。

退院後も現在まで右半身麻痺と失語症の障害が残り、リハビリを継続されています。

今のお体では、元の建築現場でのお仕事に戻ることが出来ず、また、失語症の影響で電話応対ができないため事務職への配置転換も難しいという事で退職となりました。

就労の目処も立たず、路頭に迷っていたところ、知人から障害年金のことを聞き、申請をお決めになりました。

ただ、ご自分では、請求準備ができず、ネットで当事務所のほーむページをご覧いただき、知人の方とご一緒に申請の代行についてのご相談に来られました。

 

申請結果

ご相談者様は失語症で会話が困難なため、代理の方と相談をさせて頂き請求準備を進めました。

まず、初診の病院から「受診状況等証明書」(初診日の証明)を取り寄せました。

初診日が確定できたことで、障害認定日から1年以内での認定日請求であることを確認できました。

従って、依頼する診断書は障害認定日から3ヵ月以内のもの1枚となります。(障害認定日については、ポイント①をご参照ください。)

診断書請求の段階で、肢体で診断書を取るか、失語症で診断書を取るかを考えました。

ご相談者様の障害の程度としては、失語症の方が重いと代理人の方から聞いておりましたが、「併合」を視野に入れ、肢体及び失語症、2枚の診断書を提出することにしました。(併合についてはポイント②をご参照ください。)

そして診断書を取得した処とても気になる一文が記載されていました。

それは「心原性塞栓疑い」という内容です。

心原性とは何らかの心臓疾患が脳梗塞の原因となった可能性があるという事です。

このような場合、心臓疾患と脳梗塞との間に相当因果関係があると判断されます。

そうなると、心臓疾患で初めて病院を受けた日が初診日となり、初診証明(受診状況等証明書)を取り直さなければならない可能性がありました。(相当因果関係についてはポイント③をご参照ください。)

そこで、ご本人に事実確認をしたところ、脳梗塞以前に心臓の病気で治療をしたことは無いとのことでした。

そのため、その旨を別途申し立てることにしました。

結果、当初の予定していた初診日で『障害厚生年金3級』に認定されました。

 

【ポイント1】障害認定日の特例(脳血管障害)

障害認定日は、原則『初診日から1年6ヵ月を経過した日』です。

しかし脳梗塞などの脳血管障害の場合は、特例として以下を全て満たすと1年6ヵ月を待たずに障害年金の申請ができます。

①初診日から6ヵ月経過している
②医学的にこれ以上の改善が見込めない
③症状固定と判断されている

これを障害認定日の特例と言います。

 

【ポイント2】複数傷病がある場合は併合認定も検討

2つ以上の障害がある場合、それぞれの傷病について申請することで、障害の状態を併せて認定されると受給の可能性が高くなったり、更に上位等級での認定となることがあります。

全ての傷病で併合認定が出来るわけではないため、複数障害がある場合は、闇雲に申請するのではなく、どのように組み立てて申請していくか検討する必要があります。

複数傷病でどのように手続きを進めていくのが良いか判断が難しい場合はぜひ専門家へご相談ください。

 

【ポイント3】相当因果関係について

「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。

つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。

例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。

  • 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
  • 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
  • 肝炎→肝硬変
  • 結核の化学療法による副作用として聴力障害
  • ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
  • 事故または脳血管疾患→精神障害

他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。

相当因果関係に関する事例は以下のページでご紹介していますのでご参照下さい。
相当因果関係の事例

 

その他の肢体の障害の事例

 

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