目次
対象者の基本データ
病名 | 統合失調症(とうごうしっちょうしょう) |
---|---|
性別 | 女性 |
支給額 | |
障害の状態 | ・幻聴が主な症状 ・現在は両親と同居し生活を支援して貰っている ・労働はできていない |
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
Kさんが統合失調症を発症したのは、大学入学のために一人暮らしを開始した頃「耳鳴りのような症状」が出始めたのがきっかけでした。
(今、思えばとのこと)誰もいないのに、音や声のようなものが聞こえ始めました。
当初、慣れない環境による「疲れ」が原因と思い、病院へは受診しなかったそうです。
しかし、耳鳴りのような症状は一向に止まず、大学の友人に相談。
『難聴の可能性があるのではないか』と言われ、友人の助言により自宅近くの耳鼻咽喉科を受診。聴力検査などを行うもいずれも「異常なし」。
ひとまず様子を見ることにしたが、一向に改善しませんでした。
症状は徐々に悪化。
悪口のような声が聞こえ始め、明らかな幻聴が現れていました。
ただ当時は”幻聴”とは思わず、友人が悪口を言っていると思い込んでおり、大学へ行くことが出来なくなりました。
以降、無断で欠席が続き、Kさんを心配した友人たちが自宅を訪ねたところ、ひどく怯えたKさんがいました。
ご友人はKさんのご両親に連絡、その日のうちにかけつけたご両親とともに、その足で病院を受診することになりました。
どの科を受診すべきはわからず、受付窓口にて相談。
怯えた様子からひとまず精神科を受診することに。
診察では、医師の問いかけにも曖昧で返答が出来ないことも多々あり、当初は「うつ状態」ということで、治療を開始。
うつ病に効果的な薬が処方されました。
投薬開始後、しばらく経過しても症状は変わらず。
その後、通院を重ねていく中で「統合失調症」と診断され、薬も変更されました。
すると浮き沈みはあったものの徐々に症状は落ち着き、その後はご実家にてご両親とともに生活、地元の病院に転医して治療に専念することになりました。
病院の医師より「20歳になったら障害年金の手続きをしてみるのはどうか?」と勧めがあり、ご両親が「障害年金制度」について調べていたところ、当事務所を見かけご相談に至りました。
申請結果
20歳の誕生日を迎えてすぐに提出ができよう、20歳前より準備に取り掛かりました。
Kさんの申請で1番の課題となるのが「初診日」です。
初診病院が「耳鼻咽喉科」なのか「精神科」なのか判断するため、しっかりとヒアリング。
それにより「初診は耳鼻咽喉科の可能性が高い」ことがわかり、受診した耳鼻咽喉科へカルテ開示。
初診時カルテにはKさんより「耳鳴りや“幻聴のようなものがある”」と本人申立ての記載があったことから、初診病院および初診日が確定しました。
請求の際は、同カルテも合わせて提出。
各病院の主治医が迅速なご対応をしてくださったお陰もあり、請求は大変スムーズに進みました。
予定どおり、20歳の誕生日後すぐに提出が完了し、結果は無事に「2級」と認定されました。
【ポイント1】耳鼻咽喉科も初診になる
統合失調症を含むメンタル疾患では、発症間もなくは気づきにくいことが多々あります。
そのため、精神科・心療内科を受診するのではなく、まずは「内科」を受診、その後「うつ病等の可能性に気づき精神科などへ」という方も多くいます。
このように精神科「以外」の病院を先に受診した場合、先に受診した病院が初診病院になります。
事例でみるとKさんの主な症状が幻聴で「当初は耳鳴り」と考えていたこともあり、耳鼻咽喉科を受診しました。
Kさんの場合、初診病院は「耳鼻咽喉科」が当てはまります。
【ポイント2】ご家族の協力
障害年金を検討している方は、「自宅内での様子」や「現在ある症状」などを詳しく伝える必要もあります。
しかし、Kさんは病気の関係で「診察時に医師との意思疎通が上手く図れない」とのことでした。
意思疎通に心配があったため、申請時はご家族に付き添って頂き、加えてKさんとご家族からお聞きした情報を申立書にまとめ持参いただきました。
これにより、症状などの詳細を医師に伝えることができ、実態をきちんと反映した診断書が出来上がりました。
【ポイント3】 申請準備は20歳前からでもOK
障害年金の申請は「20歳以降」より可能です。
今回Kさんは、ご相談時まだ20歳を迎えていませんでした。
申請自体はまだできない期間ではありましたが、「申請準備」は可能です。
20歳「以前」から準備に取り掛かり、二十歳の誕生日を迎えた後、すぐに提出できるように行ったことで、スムーズに受給に至りました。
【ポイント4】病名が変更されることもよくある
Kさんは当初「うつ病」とされましたが、現在は「統合失調症」に変更されています。
そのため、申請書類内の病名がバラバラとなりましたが、メンタル疾患の場合「当初」と「現在」の病名が変わることもよくあります。
『大丈夫かな?』と心配になる方もいらっしゃいますが、障害年金の手続き上、問題ありませんのでご安心ください。
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