人工股関節では障害年金はもらえない?

障害年金に関してよくある「人工股関節では障害年金はもらえませんか?」という質問にお答えします。

人工股関節で障害年金をもらえるの?

人工関節・人工骨頭での障害年金受給

人工股関節を含む人工関節や人工骨頭を挿入置換して障害年金を申請した場合、「就労の有無」や「収入」に関わらず、他の要件をクリアしていれば原則3級の受給が認められる可能性があります。

原則3級のため、初診日が国民年金・20歳未満・第3号といった「障害基礎年金」が対象の場合は障害年金の受給は難しいという点に注意が必要です。

障害等級障害基礎年金障害厚生年金
1級
2級
3級

障害年金を受給するための要件

障害年金を受給する場合、障害の種類に関わらず以下の3つの要件を満たす必要があります。

初診日要件

障害または死亡の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日を「初診日」と言います。

障害年金を受給するためには、初診日に国民年金、厚生年金、共済年金といった公的年金に加入している必要があります。(初診日要件)

ただし「20歳未満の方」と「60歳以上65歳未満で日本国内に在住されている方」は、年金未加入の間に初診日がある場合であっても障害年金の受給対象となる場合があります。

保険料納付要件

初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの期間で、国民年金の保険料を「納付した期間」と保険料が「免除されていた期間」をあわせた期間が3分の2以上ある必要があります。(保険料納付要件)

ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。

障害状態該当要件

障害の状態が、障害認定日に、障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当している必要があります。(障害状態該当要件)

ただし、障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害厚生年金を受け取ることができる場合があります。

人工股関節で受給できる障害年金の等級

人工股関節の挿入置換して障害年金を申請した場合、障害年金何級を受給できる可能性があるのでしょうか。

障害年金3級を受給できるケース

人工骨頭又は人工関節を挿入置換して障害年金を申請した場合、「就労の有無」や「収入」に関わらず、他の要件をクリアしていれば原則3級の受給が認められます。

障害年金には、障害の程度に応じて、1級、2級、3級といった等級があります。

その等級を決める基準を「障害認定基準」と言います。

その障害認定基準の中で、原則として人工骨頭又は人工関節を挿入置換した場合は「3級」とされています。

ただし、障害の程度が重い場合は、さらに上位等級に認定するとされてます。

コ 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、次により取り 扱う。

(ア) 一上肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換 したものや両上肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは3級と認定する。 ただし、そう入置換してもなお、一上肢については「一上肢の用を 全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両上肢については「両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、 さらに上位等級に認定する。

(イ) 障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換 した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。

【令和4年4月1日改正版】国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第7節 肢体の障害 第1 上肢の障害

ク 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、次により取り扱う。

(ア) 一下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換 したものや両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工 関節をそう入置換したものは3級と認定する。 ただし、そう入置換してもなお、一下肢については「一下肢の用を 全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、 さらに上位等級に認定する。

(イ) 障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換 した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。

【令和4年4月1日改正版】国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第7節 肢体の障害 第2 下肢の障害

人工関節で3級を受給できた事例

人工関節は「原則3級」と決められています。(ただし、症状によって上位等級(2級以上)に認定される可能性もあります。)

3級に該当するためには初診日に厚生年金や共済年金に加入していることが条件となります。

つまり、初診日が国民年金・20歳未満・第3号といった障害基礎年金が対象の場合は、人工関節の手術のみでは障害年金の受給は難しいと言えます。

その他の「人工骨頭又は人工関節で障害年金を受給できた事例

依頼者様の声

人工股関節の挿入で障害年金を受給できることになった依頼者様からのご感想をご紹介します。

障害年金2級を受給できるケース

人工骨頭又は人工関節を挿入置換して障害年金を受給する場合、原則は3級ですが、以下のような場合は2級を受給出来る場合もあります。

  • 一上肢については「一上肢の用を 全く廃したもの」程度以上に該当するとき
  • 両上肢については「両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するとき
  • 一下肢については「一下肢の用を 全く廃したもの」程度以上に該当するとき
  • 両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するとき

人工関節で2級を受給できた事例

人工関節は複数個所に挿入しても原則的には3級として認定されます。

つまり、障害基礎年金の対象者は不支給となる事が多いという事になります。

しかし、すぐに諦めてはいけません。

人工関節の手術をしても、関節の可動域や、筋力の状態に相当程度の障害が残っているケースでは2級として認められる可能性があります。

まとめ

人工骨頭又は人工関節を挿入置換して障害年金を申請した場合、「就労の有無」や「収入」に関わらず、他の要件をクリアしていれば原則3級の受給が認められる可能性があります。

つまり、初診日が国民年金・20歳未満・第3号といった「障害基礎年金」が対象の場合は障害年金の受給は難しいと言えます。

ただし、障害の程度が重い場合は、基礎年金2級に認定される可能性があります。

詳しくは『人工関節・人工骨頭の障害年金申請で「よくある3つの誤解」』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

人工骨頭又は人工関節を挿入置換されている方で障害年金の申請に関して何か気になる点などございましたら、お気軽にご相談ください。