目次
対象者の基本データ
病名 | 適応障害・発達障害 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約78万円 |
障害の状態 |
|
申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は、幼少期から対人交流が苦手で、友人を作ることもできず、一人で遊んでいることが多かったそうです。
小学生になっても集団生活になじめず、クラスでは浮いた存在で、時に苛めを受けることもありました。
また、授業中も落着きがなく、離室するなどの行為も目立ち、担任の先生の勧めで受診することになりました。
検査の結果、広汎性発達障害と診断され、定期的に通院し薬物療法を受けていました。
その後、少し落着きが出たため受診を中断していました。
しかし、大学生の時に、アルバイトの面接を受けますが全て不採用になったことで、ショックを受け、その後は、自室に引きこもり一歩も外出ができなくなります。
再び、受診を始めますが、症状は改善せず引きこもり状態は続いています。
経済的な理由で、障害者雇用で就労を始めましたが、人間関係が構築できず職場でのトラブルも絶えず、現在は長期休職中です。
今の状況で、将来、一人で生きていけるのかを不安に思ったお母さまから、弊社に申請についてのご相談を頂きました。
申請結果
ご相談様は、引きこもり傾向が強く、他者とは非対面の対応さえ困難であり、手続きに関してはお母様とのやり取りで進めることになりました。
お母様は、以前、ご相談者様が就労されるときに就労支援の担当者の方から、障害年金のことを聞いておられ、大まかな手続き方法はご存知で、申請方法としては遡及請求をご希望でした。
本事例では、初診日が20歳前のため、遡及請求をするためには、20歳のお誕生日(障害認定日)の前後3カ月以内での診断書が必要となりますが、その当時は大学に通っており受診もしていなかったとのことでした。(ポイント①)
本来ならば、事後重症請求に切り替えて手続きを進めることになりますが、何か遡及請求できる方法がないか検討しました。
理論上は診断書が取得できなくても、20歳の頃の障害の程度を客観的に証明することができれば、遡及申請が認められる可能性があります。
そこで医師に、傷病の特徴から20歳当時の症状を推定することは可能か相談をおこないました。
残念ながら、医師からは、「記載してあげたい気持ちはあるが、医学的に考えて診断書への記載はできない」とのお返事でした。
その他の手段も考えましたが、その当時、精神障害者保健福祉手帳など障害の程度がわかるようなものも取得されておらず、遡及請求は諦め、事後重症請求で申請することになりました。(ポイント③)
結果は、2カ月足らずのスピード審査で、「障害基礎年金2級」に認定されました。
遡及は叶いませんでしたが、将来に向かって障害年金が支給されることになり、お母様にもご安心頂くことができました。
弊社では、1%の可能性でもあるならば、ご相談様のご希望に添えるよう、チャレンジするという姿勢で、これからも申請手続きに取り組んでまいります。
【ポイント1】20歳前傷病による障害認定日請求
20歳前傷病の場合の障害認定日は初診日から1年6ヵ月を経過した日が20歳到達日より前にあるか、後にあるかによって取り扱いが変わります。
(※20歳到達日:20歳の誕生日前日のことを言います)
- 初診日から1年6ヵ月経過した日が20歳到達日よりも前にある場合:20歳到達日が障害認定日
- 初診日から1年6ヵ月経過した日が20歳到達日よりも後にある場合:原則通り初診日から1年6ヵ月経過した日が障害認定日
20歳前傷病による障害認定日請求を行う場合、上記障害認定日の前後3ヵ月以内現症の診断書が必要となります。
【ポイント2】事後重症による請求
「事後重症による請求」とは、初診日から1年6か月経過した日(障害認定日)時点においては障害等級に該当しない状態であった場合で、その後65歳に達するまでに障害の状態が悪化し障害等級に該当し、65歳に達するまでに請求を行う申請方法です。
事後重症による請求が認められた場合、請求した月の翌月分から年金が支給されることとなります。
そのため、請求方法が「事後重症による請求」の場合は、ひと月申請が遅れるごとにひと月分の年金が消滅していくこととなります。
何らかの理由で「障害認定日による請求」が出来ず、「事後重症による請求」となる場合は申請スピードが大切になります。
【ポイント3】障害認定日の診断書がない場合の障害認定日による請求
障害認定日による請求を行う場合、原則として障害認定日頃の診断書が必要となります。
しかし、これはあくまでも原則論であり、必ずしも医証によらずとも、障害の程度を判断するための合理的な資料等が得られる場合には認定される余地があると考えられます。
障害認定日頃の診断書が得られないからといってすぐに諦めることなく、医証以外の方法で認定を得られないか一度検討する価値はあると思います。
ただし、全ての傷病で医証がなくても受給ができるというものでは有りませんので、ご注意ください。
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