目次
対象者の基本データ
病名 | 双極性障害(そうきょくせいしょうがい) |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約123万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
30年以上前、不安、うつ様症状、パニック発作を起こし、自殺願望から手首をカミソリで深く切り、家族が救急要請をし、A病院を受診されました。
外科的治療を受け、精神的に不安定であることからその後はB病院で治療を行っていました。
数ヶ月通院を継続し、精神的に落ち着いたため、通院を中断。
自傷の傷も治り、就労を開始しました。
不安やうつ病症状などで不安定となることも会ったそうですが、医療機関への通院はせずに過ごしていました。
婚姻し、子供も授かり、日常生活や子育てにも何ら支障なく過ごせるようになり、子育てと並行して就労も行い、いつしかこれまでの不安症状などを自覚することもない期間が10年程継続しました。
しかし、家族が病床に伏すようになり、自身の精神状態も不安定となり再び支障をきたすようになりました。
パニック状態が続き、幻覚も見え、錯乱状態であった為、心配した友人に連れられ、再び医療機関を受診することとなりました。
現在もC病院への通院を継続していますが、意欲低下し、家事や身の回りのことも殆ど出来ず、日常生活の多くに支援が必要な状況が続いています。
働ける状態になく、経済的な不安や家族への負担を考えると息をするのも苦しく、将来への不安に苛まれていました。
ネットで障害年金制度を知りましたが、年金事務所への来庁や書類の作成もとても出来る状態ではなく、申請代行の為、当事務所にご相談いただきました。
申請結果
今回の請求のポイントは初診日となりました。
ご本人様より現在までの経過についてお伺いしている中で、A・B病院への通院を中断してから、現在通院中のC病院を受診されるまでの間に「約10年程、自覚症状もなく、日常生活や就労も支障なく行えていた期間がある」というお話しをお伺いしていました。
そのため、今回のご相談者様の場合は社会的治癒を申し立てることで、初診日は「初めてA病院を受診した日」ではなく、『初めてC病院を受診した日』として認められる可能性があるのではないかと考えました。(ポイント①)
現在通院中のC病院を初診病院として申請していくため、初診日の証明となる受診状況等証明書は取得せず、診断書の取得から始めました。(ポイント②)
診断書にはA・B病院の受診歴についてもありのまま記載いただき、A・B病院受診後、C病院受診に至るまでの経緯や日常生活・就労状況についての経過についても診療録より確認出来る限り詳細に記載いただきました。
診断書の記載内容だけではわからない背景や経過、具体的な生活状況については病歴就労状況等申立書にて詳述し、申請しました。
結果、初診日は申し立てた「初めてC病院を受診した日」として認められ、「障害基礎年金2級」として支給が決定しました。
A病院初診であれば医証を取得できない為、障害認定日による請求を行うことが出来なかったものの、C病院が無事に初診日が認められた為、現在、障害認定日による請求の準備を行っています。
今回の場合は社会的治癒の申立てが認められるか否かによって、障害認定日も大きく変わるため、事後重症請求時に申し立てた初診日が認められた場合、事後重症請求の決定後に障害認定日請求を後から行うこととしました。(ポイント③)
病歴や個別の事情によっては障害認定日による請求も同時に行った方が良いケースもありますので、判断が難しい場合はぜひご相談ください。
【ポイント1】社会的治癒
社会的治癒が認められると、初診日が変わります。
社会的治癒とは、「症状無し・生活に支障無し・就労可能な状態」が一定期間続いている場合などは、医学的には治癒とは言えなくとも治癒していると認めましょう!という制度です。
今回のケースのように「一度ケガや病気」となったが、しばらくの間問題なく生活していた後に「再度、症状が悪化・支障が出た」とき、最初のケガや病気は「治癒」その後「再発した」ものとして取り扱います。
障害年金上、再発した場合は「再発した後に初めて診察を受けた日」が初診日になります!
【ポイント2】初診病院と現病院が同じ場合の医証
障害年金では医師に記載して貰う書類(医証)は下記のとおり複数枚あることが基本です。
①初めて受診した病院で記載してもらう『受診状況等証明書』が1枚
②現在の病院で書いてもらう『診断書』が1枚
一方、初診から現在まで同じ病院で、今後の障害年金のみを請求する場合は、①が不要となり、②の1枚でOKです。
(※)認定日請求といって過去にさかのぼって申請を行うときはさらにもう1枚必要となることがあります。
以下の動画でも「医証の枚数」のご説明していますので是非ご覧ください。
【ポイント3】事後重症決定後の障害認定日請求
障害年金は、条件が整えば最大5年分をさかのぼって請求することができます。これを『認定日請求』と言います。
障害認定日請求を知らなかった場合や病院の事情などで診断書を取れない場合などは、とりあえず今後の年金(事後重症請求)だけを先に手続きし、認定後、追って障害認定日請求をすることも出来ます。
以下の動画でもポイントをご説明していますので是非ご覧ください。
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