【事例744】軽度知的障害(小学校から高校まで普通学級に在籍していた方の事例)|障害基礎年金2級

軽度知的障害|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 軽度知的障害
性別 女性
支給額 年額 約131万円
障害の状態
  • 家事、育児ともに遂行能力が低く夫の介助・支援が必要
  • 小学校から高校まで普通学級に在籍
  • パートで電子部品の組立作業に従事している
  • 療育手帳 なし
申請結果 障害基礎年金2級

ご相談までの経緯

20歳を超えて、初めて医療機関を受診し、軽度知的障害と診断された方よりご相談を頂きました。

ご相談者様は、学生時代に勉強の遅れや対人関係のトラブルなどがありましたが、障害があるという認識がなく20歳までに医療機関を受診することはありませんでした。

ただ、高校を卒業後、結婚されますが、家事や育児ができないなど日常生活の支障が顕著となります。

就労しても、簡単な仕事も覚えられず、同じミスを繰り返します。

同僚との交流も困難でトラブルも絶えません。

このような状況で、自分で感情をコントロールできなくなり、気分の浮き沈みも激しくなっていきます。

ご相談者様のことを心配されたご主人様に付添われ、医療機関を受診し、軽度知的障害と指摘されます。

今後、仕事を続けていく自信もなく、経済的な不安をお持ちでした。

たまたま、弊社のホームページをご覧になり、軽度知的障害でも障害年金を受給できる可能性があることが分かり、手続きの代行のご相談を頂きました。

申請結果

本事例のポイントは、障害認定日の診断書なしで、遡及請求できるかどうかでした。(ポイント①)

知的障害で申請する場合、出生日が初診日となり、20歳に到達した日が障害認定日となります。(ポイント②)

そして、遡及請求するためには、「現在の診断書」と「障害認定日の診断書(障害認定日前3か月から障害認定日以後3か月の間の診断書)」が必要です。

ところが、ご相談者様は、20歳の頃は受診されておらず、障害認定日の診断書が取得できません。

本来ならば、遡及請求を諦めるところですが、医師に「知的障害は生来的なもので障害認定日より3年経過しているが、障害の状態は現在と変わらないと推認する。」旨、診断書に記載して頂き遡及請求で申請しました。

結果は、2カ月ほどのスピード審査で事後重症請求は『障害基礎年金2級』に認定されましたが、残念ながら遡及請求は認められませんでした。

【ポイント1】「事後重症請求」と「遡及請求」

本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。

『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。

つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。

注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。

遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。

以下の動画でものポイントをご説明していますので是非ご覧ください。

【ポイント2】知的障害の障害認定日

知的障害の場合は出生日が初診日となります。

そのため、障害認定日は他の20歳前傷病と同様に「20歳の誕生日の前日」となります。

そして、認定日請求や遡及請求の際には、障害認定日前3ヵ月から障害認定日以降3ヵ月以内の診断書が必要になります。

なお、知的障害の場合、他の傷病と違い「受診状況等証明書」(初診日の証明)は不要です。

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