【事例698】精神遅滞|障害基礎年金2級

精神遅滞|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 精神遅滞
性別 女性
支給額 年額 約78万円
遡及金額 約105万円
障害の状態
  • 施設に入所しており、日常生活全般において施設職員のサポートが必要
  • 対人交流が困難で就労できない
  • 小・中学は特別支援学級、高校は特別支援学校で過ごす
  • 療育手帳 B1
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

家族関係が複雑で、出生時から施設で生活をされていました。

小・中学校は特別支援学級、その後、特別支援学校に進学します。

特別支援学校卒業後は、グループホームで共同生活を送ることになります。

同時に、障害者雇用で調理場の皿洗いに従事します。

しかし、職場での人間関係が構築できず、虐められることもあり1年ほどで退職となりました。

その後は、情緒不安定で就労することもできず、日常生活もグループホームの職員の方のサポートが欠かせない状況です。

ご本人様の将来をご心配されたグループホーム施設長が本人に代わって、障害年金の手続きを始めることになります。

しかし、手続きが煩雑なこともあり、弊社に申請代行のご相談を頂く事となりました。

 

申請結果

障害認定日の「診断書」が取得できない場合でも、遡及が認められるかどうか、これが本事例の大きなポイントでした。

ご相談者様は、障害認定日の頃は受診しておられず、「診断書」は取得できません。(ポイント①)

取得できた「診断書」は障害認定日から1年以上経過したものでした。

遡及請求は諦め、事後重症請求での申請を考えました。(ポイント②)

しかし、精神遅滞は生来的な障害であり、症状に変化がないと推測できます。

従って、障害認定日頃の症状も現在の症状と変わりがないと考えられます。

そこで、「遡及請求に関する補足申立書」を作成し、「精神遅滞という傷病の特性上、障害認定日の症状も現在の症状と変わりがなかったと推測できる。」と主張し、現在の診断書の内容で障害認定日での審査をお願い致しました。

遡及が認められるかどうか不安もありましたが、2ヵ月足らずのスピード審査で「障害基礎年金2級」に認定され、無事、遡及についても認められました。

 

【ポイント1】知的障害の障害認定日

知的障害の場合は出生日が初診日となります。

そのため、障害認定日は他の20歳前傷病と同様に「20歳の誕生日の前日」となります。

そして、認定日請求や遡及請求の際には、障害認定日前3ヵ月から障害認定日以降3ヵ月以内の診断書が必要になります。

なお、知的障害の場合、他の傷病と違い「受診状況等証明書」(初診日の証明)は不要です。

 

【ポイント2】「事後重症請求」と「遡及請求」

本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。

『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。

つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。

注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。

遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。

 

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