目次
対象者の基本データ
病名 | 両足趾壊疽、左手指凍瘡・壊疽 |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約78万円 遡及金額 約390万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害基礎年金2級 |
ご相談までの経緯
外国で登山の最中に凍瘡を発症したため、下山してすぐに受診されました。
医師から指を切断することになるので、帰国して日本の病院で手術を受けるように言われます。
そして、帰国後、すぐに、指の切断術を受けます。
切断後は、足底装具などを使用していますが、歩行時の痛みは続いています。
その為、仕事のスピードも遅くなり、同僚に迷惑をかけており、いつ解雇されてもおかしくない状況です。
この様な状況で、いつまで仕事が続けられるかもわからず、経済的な不安を強くお持ちでした。
そんな時、ネットで障害年金の制度を知り、すぐに手続きを始められます。
しかし、初診が外国という事で、初診証明がとれず、手続きが中断してしまい、藁をもすがる思いで、当事務所に代行のご相談を頂く事になりました。
申請結果
本事例は、不備なく書類を揃えられれば、認定基準から2級に該当します。
しかし、申請にあたり、初診日証明が高いハードルになりました。
ご相談者様は、外国で発症し、まず外国の病院を受診されていました。
また、初診日も5年以上前で、「受診状況等証明書」の取得は断念しました。
ただ、初診日の証明ができないと手続きが進みません。
再度、ご相談者様にヒアリングしたところ、当時、生命保険会社に給付金請求のため、診断書と初診病院の領収書を提出されていたことが分かり、すぐに、保険会社から診断書、領収書のコピーを取り寄せました。
そして、「受診状況等証明書が添付できない申立書」に生命保険会社から取得した「診断書・領収書コピー」を添付することで、時間を要しましたが、初診日を証明することができました。<ポイント①>
続けて、申請方法の検討に入ります。
障害認定日でのカルテが残っておらず、障害認定日での診断書が取れないため、本来は、遡及請求はできず、事後重症請求となります。
例外として、指の切断のように「障害認定日の特例」に該当する傷病の場合は、現在の診断書のみで遡及請求が可能となります。
本事例でも、現在の障害の程度を現す診断書のみ取り寄せて遡及請求で申請をしました。<ポイント②、③>
結果は、無事に初診日も認められて『障害基礎年金2級』に認定されました。また、5年間の遡及も認められました。
【ポイント1】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は必ずカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】 障害認定日の特例
- 咽頭全摘出・・・摘出した日
- 人工関節、人工骨頭挿入置換・・・挿入置換した日
- 切断、離断・・・切断、離断した日
- 脳血管障害による機能障害・・・初診日から6ヵ月経過後の症状固定した日
- 在宅酸素療法・・・在宅酸素療法開始の日(常時使用の場合)
- 人工弁、ペースメーカー、ICD・・・装着した日
- 心臓移植、人工心臓、補助人工心臓・・・移植日または装着日
- CRT,CRT-D・・・装着日
- 人工血管(ステントグラフトも含む)・・・挿入置換した日
- 人工透析療法・・。透析開始日から3ヵ月経過した日
- 人工肛門造設、尿路変更術・・・造設日または手術日から起算して6ヵ月を経過した日
- 新膀胱造設・・・造設日
- 遷延性植物状態・・・植物状態に至った日から起算して3カ月経過した日以後
【ポイント3】 障害認定日の特例
障害年金を1年以上、遡って請求する場合、原則として2枚の診断書が必要となります。
2枚というのは記載された症状が、それぞれいつ分が必要なのかが異なるためです。
- 1枚目:障害認定日の症状
- 2枚目:請求時の症状
しかし現在の診断書だけで、初診日から1年6ヶ月の段階で以下に該当することが分かる場合については、例外的に1枚の診断書だけで遡及請求が出来ることになります。
- 人工関節や人工骨頭を挿入置換
- 植込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着
- 新膀胱を造設
- 人工肛門を造設
- 手足を切断または離断
- 在宅酸素療法を開始
- 喉頭を全摘出
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