目次
対象者の基本データ
病名 | 1型糖尿病 |
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性別 | 女性 |
支給額 | 年額 約59万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金3級 |
ご相談までの経緯
25年程前の出産後より、異常な口渇感、食欲不振による体重減少、強い倦怠感、頻尿などの自覚症状を認めるようになったそうです。
不安になりすぐに医療機関を受診すると、1型糖尿病と診断されました。
それ以来、現在まで食事療法、インスリン治療による治療を継続しています。
長年に渡って治療を継続していますが、徐々に状態が悪化してきており、低血糖となる頻度が増え、横になって過ごす日も増えていました。
症状や度重なる入院、通院のために仕事を続けることも困難となり、今後も一生付きまとう医療費と家族への負担から将来への不安を抱えるようになりました。
そんな中で身内の障害者手帳を申請した際に障害年金の制度を知り、年金事務所へ相談に行って自分で手続きを試みましたが、思った以上に必要となる書類も多く、煩雑な手続きに途方に暮れていました。
ネットで当事務所のことを知り、ご相談の連絡を頂きました。
申請結果
初診日は現在から20年以上前ということもあり、今回の申請では初診日証明がポイントとなりました。
現在まで4箇所の医療機関を受診されていますが、現在通院中の病院以外では既にカルテが破棄されており、初診日の証明となる書類を取得することが出来ませんでした。
医療機関からは初診日証明を取得できないため、他の客観的な証拠書類を積み上げることを検討しました。(ポイント①)
これまで何度か入院治療をされているとお伺いしていましたので、改めてご本人様に入院時の書類など何かお手持ちのものがないか確認をお願いしました。
すると、生命保険へ提出された「入院証明書」の控えをお手持ちでした。
内容を確認すると、糖尿病の発症から初診までの経過などが確認できる記載があり、十分客観的に初診日の証明証拠書類として使用できるものでした。
初診日証明が整った為、現在通院中の病院へ診断書の作成依頼を行い、診断書の内容からも「糖尿病の初診日」また「障害等級」が十分に認定基準に該当することを確認し、申請しました。
結果、初診日の証明となる受診状況等証明書が添付出来なくても、無事「障害厚生年金3級」として認定されました。
【ポイント1】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は必ずカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。