目次
対象者の基本データ
病名 | 慢性腎不全(まんせいじんふぜん) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約129万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者の男性は、約20年以上前より別疾患で通院加療を続けている中、たまたま腎機能に問題があることが判明しました。
当初は自覚症状がなかったものの、症状は緩やかに進行し、発覚から約10年後のH30年末頃より貧血、息切れ、めまい、強い倦怠感といった症状が出始めました。
症状は一向に改善せず、翌年1月に自宅内で動けなくなり救急要請となりました。
搬送先で血液検査を行ったところ末期の腎不全であると診断され、間もなく人工透析が開始されました。
現在も週3回の透析継続中で、身体への負担から就労もできず経済的に不安を感じていたそうです。
そんな中、お子様から障害年金を申請してみたらどうかとアドバイトを受け、自力申請に挑むも初診日特定に難航し断念。
代理申請などはないかとネットで検索したところ当事務所のHPを見つけ、相談に至りました。
申請結果
お問合せの際、ご相談者様より人工透析を受けている事をお伺いし、等級は2級相当であると判断が出来ました。(ポイント①)
しかし自力申請を断念した原因でもある「初診日特定」は、通院歴の複雑さから難航することが予想され、通常よりお手続きに時間を要することをご了承いただいた上、申請を行うこととなりました。
まずご相談者様自身で取り寄せた過去のカルテを頂き、その中から現疾患と関連あると思われる「腎機能の問題」が出始めた時期の特定を行いました。(ポイント②)
膨大なカルテの中からようやく該当する日付を見つけ出し、その時点を初診日として受診状況等証明書を取得する段階へと移ります。
しかしここでも課題があり、初診日があると思われる病院は吸収合併されており、すでに存在していなかったのです。
障害年金申請において「初診日の特定」は重要事項の1つであり、ここで諦める訳にはいかず、初診病院を引き継いだと思われる病院を特定。
連絡を取り相談したところ当時のカルテも保管されていることが発覚、これを元に受診状況等証明書を作成頂けることとなりました。(ポイント③)
これにより無事、初診日の特定および受診状況等証明書の取得ができ、障害年金2級と認定を得ることができました。
【ポイント1】人工透析は働いても受給可能
人工透析の等級は、原則『2級』と定められています。(※)症状によってはさらに上位等級の可能性もあり。
仕事が出来ていると「障害年金の受給は無理かな?」を思いがちですが、人工透析を実施していることで就労や生活に制限が出てきます。
そのため、人工透析の場合は「就労の有無・生活への支障」などに関わらず、2級と認定されます。
就労と障害年金の関係に関しましては、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】相当因果関係について
「前発の傷病がなければ、後発の傷病は起らなかったであろう」と認められる場合は相当因果関係ありとして、前後の傷病が同一の傷病として取り扱われます。
つまり、前発の傷病で最初に医師の診療を受けた日が後発傷病の初診日として取り扱われることとなります。
例えば相当因果関係があるものとしては以下のようなものがあります。
- 糖尿病→糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等
- 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎→慢性腎不全
- 肝炎→肝硬変
- 結核の化学療法による副作用として聴力障害
- ステロイド投薬→大腿骨頭壊死
- 事故または脳血管疾患→精神障害
他の傷病でも相当因果関係ありとされる傷病はある為、複数傷病を発症している場合は初診日の取扱いには注意が必要です。
相当因果関係に関する事例は以下のページでご紹介していますのでご参照下さい。
【ポイント3】初診日の証明
障害年金は初診日主義とも言われています。
つまり、障がいがどんなに重たくても初診日の証明が出来なければ障害年金を受給することが出来ないということです。
カルテの法定保存期間が5年と定められている為、初診日の証明が出来ず悔しい思いをする方が多くおられるのも事実です。
そんな時でも証拠を積み上げて、間接的に初診日を証明出来たケースが多くありますので諦めない事が大切です!
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