【事例424】感音性難聴|障害基礎年金2級

感音性難聴|障害基礎年金2級

対象者の基本データ

病名 感音性難聴
性別 男性
支給額 年額 約78万円
遡及金額 約416万円
障害の状態
  • 両耳の聴力レベルが90dB以上
  • 意思伝達はジェスチャーや筆談が必要
  • 仕事は自営業で電話応対は家族が行い、FAXや筆談で仕事を進めている
  • 身体障害者手帳なし
申請結果 障害基礎年金2級

 

ご相談までの経緯

高校生頃より音の聞こえづらさを自覚し始めたそうです。

当時は生活に大きな支障をきたすほどでもなく、すぐには医療機関へ受診されませんでした。

症状は徐々に進行していたそうですが、社会人になり、就職してからは専門職であったため周囲と蜜にコミュニケーションを取る場面が少なかったことと、当時は仕事も忙しく、近くに耳鼻科がなかった為時間を作れず、受診に至ることはなかったそうです。

ただ、会話をする場面では正しく聞き取れず、会話が噛み合わなかったり、内容の聞き間違えが頻発に起こり、周囲とのコミュニケーションには大きな支障をきたしていました。

会社を退職し、自営業を始め、自宅で仕事をするようになりましたが、以前にも増して仕事への支障が大きいことから時間を作り、一度病院で診てもらうように家族より強く勧められ、医療機関を受診されました。

初診時点で両耳の聴力が90dBを超える高度感音難聴で治療法もなく、良くなることはないと医師に告げられ、症状改善の余地がないのであれば通院の必要もないことから、1度受診したのみで通院を中断していました。

初診時に医師から障害者手帳の申請を勧められ、診断書を記載してもらっていましたが、手帳を取得することで仕事に影響するのではないかと考え、申請は行わず現在までに至りました。

症状のため将来への不安や仕事上家族への負担をかけていることに自責の念を感じていたところ、家族より障害年金を勧められましたが、初診日が20年以上前と古いこともあり手続きに不安があり、当事務所にメールでご相談をいただきました。

 

申請結果

これまでの経過をお伺いし、初診日の時点から両耳の聴力が90デシベルを超える状態であったことから事後重症での受給はもちろん、障害認定日に遡って受給ができないかと考えました。

障害認定日による請求を行う場合は初診日から1年半後の障害認定日当時の状態が確認できることが必要です。

今回のご相談者様の受診歴は初診時に1回、請求時点で1回のみの受診しかしたことが有りませんでした。

したがって、障害認定日当時はいずれの医療機関にも通院歴がなく、医療機関で医証を取得すること等によって障害認定日頃の状態を証明することは出来ません。

しかし、初診日時点及び現在も両耳の聴力レベルが90デシベルを超える障害年金2級相当の状態であったことと請求傷病の性質や病態、考えられる症状の経過等から、障害認定日頃の状態の推定ができるのではないかと考え、現在の主治医の先生に障害認定日頃の状態についての意見書を作成していただきました。

現在の主治医の先生の「意見書」、初診時に作成していただいていた「身体障害者手帳申請用の診断書」、障害年金用の診断書によらず認定日請求を行うことについて「代理人の申立書」を提出し、障害認定日による請求を行いました。

結果、障害基礎年金2級として事後重症による請求だけでなく、障害認定日による請求も認められ、遡って5年間分の障害年金と今後の障害年金が支給されることとなりました。

 

【ポイント1】 障害認定日の診断書がない場合の障害認定日による請求

障害認定日による請求を行う場合、原則として障害認定日頃の診断書が必要となります。

しかし、これはあくまでも原則論であり、必ずしも医証によらずとも障害の程度を判断するための合理的な資料等が得られる場合には認定される余地があると考えられます。

障害認定日頃の診断書が得られないからといってすぐに諦めることなく、医証以外の方法で認定を得られないか一度検討する価値はあると思います。

ただし、全ての傷病で医証がなくても受給ができるというものでは有りませんので、ご注意ください。

 

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