目次
対象者の基本データ
病名 | 慢性腎不全(まんせいじんふぜん) |
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性別 | 男性 |
支給額 | 年額 約153万円 |
障害の状態 |
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申請結果 | 障害厚生年金2級 |
ご相談までの経緯
ご相談者様は平成10年頃に会社の健康診断で異常を指摘されました。
自覚症状などは全く無かったそうですが、念のために病院を受診されました。
精密検査の結果、慢性腎臓病と診断され、即、入院となり薬物療法を受けることになります。
退院後も、服薬は継続されていましたが、日常生活、就労ともに支障なく過ごされていました。
しかし、平成29年頃に、手足の痺れ、倦怠感などの自覚症状が出現しました。これらの症状は徐々に悪化し、人工透析療法を受けることになります。
人工透析療法を受け始めて、身体障害者手帳の申請に行かれた際に、係の方より障害年金の事を教えて頂き申請する決断をされます。
ただ、仕事をしながら週に3回(1回4時間)の人工透析療法を受けているためご自身での申請準備は困難なため専門家へ依頼することをお考えになり、ネットで当事務所のホームページをご覧になりお問い合わせを頂きました。
申請結果
人工透析を受けておられるご相談者様から、初診の証明に困っているとのことでサポートを依頼された事例です。
ご相談者様のお話では、初診の病院は廃院となっているとのことでした。
また、初診が20年ほど前のことで、病院の診察券や領収書、薬の処方箋など客観的な証拠となる物もお持ちではありませんでした。
そこで、現在受診されている病院にカルテ開示をお願いしたところ、今から5年以上前のカルテに前医(初診の病院)の記載が有りました。
「請求の5年以上前に医療機関が作成したカルテ等に本人申立ての初診日が記載されており、それをもとに作成された資料の場合は、その資料単独で初診日を認めることができる。」とされています。
これで初診証明にたどり着くことが出来ました。<初診証明については、ポイント①をご参照ください。>
次に申請方法ですが、障害認定日の診断書が取れないため、遡及はできず事後重症請求となります。<申請方法につきましてはポイント②をご参照ください。>
必要な医証は、現在の障害の程度を現す「診断書」1枚です。
診断書では、「腎疾患の障害の状態」の欄が重要になります。
完成した診断書の「腎疾患の障害の状態」の欄に臨床所見、検査結果、人工透析開始日などが漏れなく記載されていることを確認し、無事、申請することができました。
結果は、初診日も申請通り認められ、『障害厚生年金2級』に認定されました。
【ポイント1】初診日の証明が出来ない場合
障害年金は初診日主義とも言われており、初診日の証明が出来ないと障害年金を受給することが出来ません。
初診日の証明は受診状況等証明書という様式を用いて行います。
この受診状況等証明書は、本来であればカルテに基づいて記載をしてもらう必要がありますが、初診病院が廃院している場合や既にカルテが破棄されている場合等は受診状況等証明書が取得できないこととなります。
そこで受診状況等証明書が取得できない場合に使用するのが、受診状況等証明書が添付出来ない申立書です。
この受診状況等証明書が添付出来ない申立書はご自身で最初に受けた医療機関名や場所、受診期間等を記載する書類です。
ただし、この書類を作成するだけでは、客観的証拠が不十分として、申請する初診日を認めてもらうことは出来ません。
申請する初診日が明らかに確認できる客観的な証拠書類を添付して、初めて有効とされます。
客観的な証拠書類としては以下のようなものがあります。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳等の申請時の診断書
- 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書
- 事業所等の健康診断の記録
- 母子健康手帳
- 健康保険の給付記録
- お薬手帳、領収書、診察券
- 盲学校、ろう学校の在学証明・卒業証書
- 第三者証明
など
受診状況等証明書が取得できない場合でも、証拠書類を積み上げ認められたケースも多くありますので諦めないことが大切です。
なお、以下の動画でもご説明していますのでご参照下さい。
【ポイント2】「事後重症請求」と「遡及請求」
本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。
『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。
つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。
注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。
遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。
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