【事例400】双極性障害|障害厚生年金3級

双極性障害|障害厚生年金3級 

対象者の基本データ

病名 双極性障害(そうきょくせいしょうがい)
性別 男性
支給額 年額 約59万円
障害の状態
  • うつ状態では抑うつ気分、意欲低下が著しく、自室に引きこもる
  • 躁状態になると、気分が異常に高揚し、他者の意見も耳に入らず抑制が効かなくなる
  • 病気が原因で退職し、現在は就労していない。
  • 経済面や身の回りのことには家族の援助が必要。
申請結果 障害厚生年金3級

 

ご相談までの経緯

10年程前より誘因なく、仕事や人と話すことに苦痛を感じるようになったそうです。

周期的に同様の症状が出現するようになり、次第に食欲不振、睡眠障害、慢性的な下痢、憂うつ気分が出現し、仕事も休みがちとなり、日常生活にも支障をきたし始めたため、医療機関へ通院を始められました。

その後も症状は一進一退を繰り返し、その度に休職、復職も繰り返し、症状悪化に伴い5年前に退職以降、仕事も出来ない状態が続いていました。

日常生活では自宅からなかなか出られず、外出は通院に限られ、何事にも意欲が湧かないため自発的に行動できず、同居している母親に助言や支援を受けて何とか生活が成り立っている状況でした。

仕事も出来る状態になく、将来への経済的な不安や家族への負担から何か支援を受けられるものがないか探していたところ、障害年金を知り、自分にも受給の可能性があるのかどうかと当事務所にご相談を頂きました。

 

申請結果

現在の状況についてヒアリングさせていただき、受給の可能性が高いことをご案内し、
自分ではとても手続きが出来る状態ではないとのことでサポートさせていただくこととなりました。

まず、初診日の証明となる受診状況等証明書の作成依頼を初診病院へ行いました。

10年程前の受診でしたが、カルテが残っており、問題なく作成していただけました。

初診日が確定したため、納付要件を確認し、請求の方法(ポイント①)を検討しました。

可能な限り遡及請求を検討しますが、今回のご相談者様の場合、認定日頃は神経症の診断で治療を受けており、また当時は仕事にも復帰した頃であったため、事後重症での請求を優先して進めていく運びとなりました。

請求方法が決まれば、事後重症請求で必要となる現在の障害状態のわかる診断書を現在通院中の病院へ作成依頼を行います。

作成依頼をする際は事前にヒアリングした診断書作成のために必要となる情報や日常生活の状況等を纏めた参考資料を添付し、医師への橋渡しを行いました。

診断書が完成し、必要となる医証が揃った時点で病歴就労状況等申立書を始めとする他の申請書類の最終調整を行い、申請しました。

申請の結果、障害厚生年金3級として認定されました。

 

【ポイント1】「事後重症請求」と「遡及請求」

本来、障害年金は障害認定日(原則初診日から1年6ヵ月後)より請求することが出来ますが、何らかの理由で請求しないまま現在に至った場合は『今後の障害年金』に加えて『過去の障害年金』を請求することも可能です。

『これからの年金』を請求する方法を事後重症請求、『過去の年金』を請求する方法を遡及請求と言い、審査の結果は、上記請求を同時に行った場合であっても、それぞれに別個に結果がでます。

つまり「これからの年金は支給」するけれど、「過去の年金は不支給」という結果もあり得ます。

注意点としては『遡及請求』は事後重症が認められて初めて認定されるため、必ず事後重症請求を『最初または同時』に行う必要があります。

遡及請求を行う時は通常よりも診断書代等の費用がかかりますので、認定の可能性や費用等を考慮しつつ、検討してみてください。

 

【ポイント2】病歴就労状況等申立書

病歴就労状況等申立書は申請書類の中で唯一、請求者本人が障害の経過や病状等を申し立てることの出来る書類です。

医療機関が作成する「受診状況等証明書」や「診断書」は初診病院の受診時や障害認定日頃、申請時の直近3ヵ月の状況等、経過の中のある一時期の病状が記載されているものであるため、これらの医証だけでは、発病から現在までの経過・全体の流れを充分に確認する事が出来ません。

病歴就労状況等申立書は医証に記載された内容だけでは十分に伝わらない障害の背景を補うための重要な書類と言えます。

障害年金の請求は全て書類審査であるため、実際は生活や就労に著しく支障をきたしている状況であったとしても、それが書類に反映されていなければ審査の対象にはなりません。

発病から現在に至るまでの通院歴、病状、日常生活・就労状況等、障害の背景が伝わるよう、具体的に作成していくようにしましょう。

 

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